約 3,642,916 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1261.html
そのゆっくり霊夢は、生まれてから一度たりとも、ゆっくりしたことがなかった。 「ゆっくりするって……何?」 何度繰り返した言葉であろうか。 懐古にも似た感傷を抱きながら、ゆっくり霊夢はひとりごちた。 外界には、言葉を話せるような存在は人間さんだけで、私たちのような、ゆっくりとか言う生物はいないらしい。 いつか会った、神社の巫女からきいた、戯言にも似た噂話。 でも、ここは幻想卿。 人間はおろか、妖怪や、あろうことか神様までいる。そしてゆっくりもだ。 でも、それらはみな役割がある。人間は日々彼らの暮らしを営み、妖怪は人間を恐れさせる。神様は言わずもがな。 ならば、ゆっくりは? 道行く人妖に聞けば、みな、こう答えるのだった。 「ゆっくりはゆっくりするためにいるんじゃないか」と。 でも、ゆっくりするって……何? ゆっくり霊夢の見るところ、仲間のゆっくりは、可能な限り、思い思いに「ゆっくり」していた。 もちろん、野生育ちの運命か、過酷な生でもあった。 動物による捕食をかいくぐり、一年に一度は必ずやってくる冬に備えて食料を溜め込む。もちろん、ねぐらの確保も忘れてはいけない。 それでも、ゆっくりたちは、暇を見つけては、仲間や、子供たちとともに「ゆっくり」していたのだ。 ぱちゅりーはどこからか見つけてきた本の上で。まりさは、帽子を船に見立てて川で遊んだりもした。 また、大多数のゆっくりは、文字通り太陽の光にあたって、リラックスすることでゆっくりとしていたのだった。 だが、この霊夢は違った。 母親のれいむや父親のゆかりん、姉妹たちと並んで日向ぼっこをし、ゆっくりしようとはするのだが、どうしても、 「なぜ、私は生まれてきたの? 今、この時間をすごしている私は何?」と、滝のように疑問が頭の中をぐるぐると回って、 どうしても、両親や姉妹のようにゆっくりできないのだ。 なんでだろう? 母親にきいても、父親に聞いても、霊夢の悩みは晴れることはなかった。どちらとも、霊夢の悩み自体を理解できなかったのだ。 群れ一番賢いとみなされている、ぱちゅりーに聞いたときも、 「むきゅー。わたしたちはゆっくりするためにうまれてきたのよ」と、答えてはくれるのだが、霊夢は納得がいかなかった。 何度、自分も何も考えずに、仲間とともにゆっくりできたらどんなに楽だろうか、と考えたことか。 でも、霊夢はどうしても、考える、という作業をとめられなかったのだ。 たとえば、群れの中に多数いるれいむは、皆リボンをつけている。それがないと、どのれいむもゆっくりできないのだという。 どういうことだろうか? 霊夢のみるところ、リボンがなくったって身体的には不利にならないのだ。どう考えてみても。 そう考えて、ある日、ためしに自分のリボンを取ってすごしてみた。 結果は、群れの皆から、 「おりぼんのないれいむはゆっくりじゃないよ! そんなのおかしいよ!」と、責められる結果となった。 そのうえ、母親のれいむがパニックになってしまったのであった。 「あああ! れいむの、れいむちゃんのおりぼんがないよ! これじゃゆっくりできないよぉぉぉぉ!!!」 まるで我が事のように心配してくれたのは霊夢としてもちょっぴりうれしかったが、やはり霊夢の疑問は尽きることがなかった。 「リボンのない霊夢はゆっくりできないの?」 よくわからない。ゆっくりれいむたちは、リボンがないとゆっくりできないのか? リボンがないと、たとえゆっくりしていても、ゆっくりではなくなるのか? そこまで考えると、何だか頭の奥がズキズキとしてきて、考えがまとまらなくなってしまうのだった。 大人になった霊夢は、群れの中では一番狩りが得意だった。 他の皆がえさの虫に向かって一直線に飛び出すのに対し、霊夢は、あらかじめ虫が逃げ出しそうな経路を予想し、 それをふさぐように行動していたからだ。 はじめのうちは、群れの中で重宝がられた。霊夢はいつだってたくさんの獲物をとってきたからだった。 でも、それは最初のうち。 ゆっくりの生きる目的はみんなで「ゆっくりすること」。それなのに、霊夢はゆっくりできないのだ。 ゆっくりは、他のゆっくりとゆっくりするのが大好きである。 言い換えれば、他のゆっくりがゆっくりしていないと、自分もゆっくりできない。 「あのれいむ、へんだよ。なんだかゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないこはあっちいってね!」 それでも家族は霊夢を一生懸命かばったが、霊夢は群れのなかから孤立していった。 「ゆっくりできないゆっくりはゆっくりじゃない……」 「じゃあ、私は何?」 「いったい何のために生きているの……?」 霊夢がついに群れから追放されたときに発した独り言である。 群れから離れた霊夢は絶対的に孤独であったが、生活の手段は心得ていた。 ゆっくりできないということは、生きることには何の障害にもならなかったのだ。 だが、それが霊夢の苦悩を強くする。 「ゆっくりするって……何? 生きるって……何?」 霊夢はいろんなところに行ってみた。その答えを探すかのように。 途中で、人間の里へ降りてもみた。半妖の先生に教えを受けて見たりもした。 字は書けるようになったが、さすがの先生も、 「生きるとは何、か……わからんな」と、匙を投げてしまうのであった。 旅をするうちに、霊夢は野生のゆっくりの生態を外れるようになった。 狩りをするよりも、人間や妖怪の手伝いをして路銀を稼ぎ、その代金で食料を買ったほうが、 効率よく、しかも質の高いえさを手に入れることができる、と気がついたのだ。 霊夢は積極的に人里や妖怪の元へ通った。 人里で人間の手の届かないところを掃除したり。夜雀の屋台でサクラになったり。 竹林で、ウサギが掘る落とし穴の囮役にもなったりした。 苛められる事や、戯れに命を奪われそうになったことも何度もあったが、霊夢はそのたびに効率のよい回避法を編み出していった。 そして、雇われるたびに、雇い主に疑問をぶつけるのだった。「生きてるって、何」と。 とある姫は「死なないことね」と。 高名な薬士は「責任を全うすることよ」と。 人形遣いは「探求すること」と。 陽気な鬼は「楽しむことさ」と。 誰の答えも、霊夢の疑問を氷解するには至らなかった。 あるとき、とある大妖のまくらになったことがあった。 目覚めた妖怪に、ゆっくりは聞いた。「生きてるって、何ですか」 美しい金髪の妖怪は、ひとつ微笑み、 「さあ、何でだと思う?」と聞き返す。 「わからない。私はゆっくりできない子だから。私は何のために生きてるかわからないんです」 「ゆっくりはゆっくりするために生きる。それはひとつの真理ともいえるわね。でもね、あなたはゆっくりできないけれども、 あなたはゆっくりとして生まれた。それは否定できないでしょう?」 「でも、ゆっくりできないゆっくりなんて、聞いたことがないです」 「あら、生まれてきたことを後悔する? あなたの両親は、あなたのことをなんと思っていたの?」 「ゆっくりできない子だけど、とてもしあわせーにしてくれる、子、だと……」 思わず、両親のことを思い出してしまった。涙が嗚咽とともに出てくるのを霊夢は止められなかった。 「ならばあなたはまぎれもないゆっくりだわ」 妖怪は微笑む。 「そしてあなたはこの私、八雲紫の前にいる。それはあなただけの歴史。事実」 「は゛い゛……」 「あなたはあなたよ。それは私にすら変えられない事実。いえ、変えちゃいけない境界」 「私は、私……?」 「あなたの質問。生きること、を説明するのは、きっと誰にでもできるし、誰にでもできないものなのだわ」 「そうなのですか……?」 「でもね。みんなそうだから、生きてるのよ」 「正直、よくわかりません」 「ふふふ。私もよ」 そういって、妖怪は姿を消し去ったのだった。 あのときは、答えを見つけそうだったのになあ。 霊夢は自分を笑った。霊夢は、あれから普通のゆっくりの何倍も生きた。 それでもゆっくりとは何か、答えは出ない。 霊夢が最後に働いていた、紅魔館。 そこでゆっくりは最期のときを迎えようとしていた。 「あら、だいぶ弱っているようね」 「お嬢様……」 霊夢の部屋を訪れたのは、紅魔館の主、レミリア・スカーレットである。 「これ以上お役に立てなくて申し訳ありません」 「そう、残念ね。あなたはゆっくりにしては異常に役に立ったから」 「褒め言葉と受け取っておきます。ありがとうございます」 やや沈黙が降りた後。当主は言った。 「あなた、私の眷属になる気はない? 特別よ、ゆっくりなんかを誘うのは」 正直、惹かれなかったといえば、嘘になる。 「そうすれば、このままのたれ死ぬこともなくなる。ゆっくりとは何か、の続きを探求することだってできるわ」 「……せっかくですが、お断りします」 「あら、何故?」 「吸血ゆっくりになると、私が、今までの私でなくなるような気がするんです」 そう、と当主は静かに頷いた。 「私は、私ですから」 「そうね。あなたがゆっくりとして歩んできた、有限の歴史の積み重ね。それを侮辱する権利は誰にもないわね」 その瞬間、ゆっくりの中に光が舞い降りた。そう、それこそが、私というゆっくりなのだ。 「ええ、私は、ゆっくりできませんでしたが、誇りを持って、自分のことをゆっくりだといえます」 「そう、おめでとう。そしてさよなら、ゆっくり霊夢」 「さようなら、お嬢様」 霊夢は目を閉じ、逝った。 閻魔の裁判を待っているゆっくり霊夢がいる。 船頭死神との話は楽しかった。 「ゆっくりにしては話は楽しいし、三途の川もやたら短い距離だったよ」と、名残惜しそうにしてくれた。 すべての思い出が寸刻のうちに繰り返される。 「次、ゆっくり霊夢!」 呼び出された。 四季映姫と名乗る閻魔が、宣告を下す。 「ただいまから審判を開始する。まず、名前と種族名を言いなさい」 霊夢は、自信をもって答えた。 「私はゆっくり霊夢。種族はゆっくりです」 万年初心者 素晴らしい。 -- ぽけわん (2009-05-29 20 25 00) 素晴らしいです。 -- ゆっけのひと (2009-06-03 20 44 33) こりゃすばらしいわ・・・ -- 名無しさん (2009-06-08 21 57 33) まさかゆっくりに感動させられるとは・・・ -- 名無しさん (2009-08-22 15 12 48) 素晴らしいです。 感動しました。 -- くるくるくるる (2010-03-17 23 55 53) 生きるとは何か・・・か。まだその答えは見つからない。 はっきりした答えは無いだろう。だが、自分なりの答えは持ちたい物だ。 -- 名無しさん (2011-02-02 19 17 17) 現実的によく考えさせられるお話でした -- ばんちょー (2014-03-13 01 04 57) 偶然凄い物語を見つけてしまった -- 名無しさん (2014-03-21 18 50 49) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/173.html
ある日ゆっくり達は突然幻想郷の外へ飛ばされた ゆっくり達がたどりついた世界は全く異質の世界だった あるゆっくりは森の中にいた うっそうと生い茂る草木の中には見たことのない花や果実があった のんびりしていると近くに服を着て人の言葉をしゃべる猫があらわれた ゆっくりは言った 「ゆっくりしていってね!」 するとその猫は不思議そうな目でゆっくりを見つめていた しばらく考えていたが猫はゆっくりを持ち上げどこかへ連れて行こうとした 猫は何かをブツブツ言っていたがゆっくりが理解することは無かった しばらく猫はゆっくりを持ったままどこかへ向かっていたが、猫の腹がグゥと空腹の音を鳴らした 猫は今自分が持っているものの臭いを嗅いだ 甘くていい臭いだった 「ゆ!れいむをたべないでね!!!」 ゆっくりはそういったが猫には通じず、大きな口に放り投げられた 猫はそのゆっくりの味に舌鼓を打った 「うめぇ、うめぇのよォ」 その猫はまたゆっくりを探したが見つかることはなかった あるゆっくりは数匹一緒に幻想郷では考えられない街にいた しかし出現した場所が場所だった 後ろにいた少女に一匹が鷲づかみにされた 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりは緊張感も無く、いつもの言葉を言った だがその少女は腹が減っており、ゆっくりに噛み付いた 齧られるのではなく、中身を吸い取られるようにしぼむゆっくり それをみたゆっくり達は一目散に少女のいる路地裏から逃げ出した しばらく飛び跳ねると、夜の公園にたどり着いた もちろんゆっくりはこれが公園だとは分からない そしてふとゆっくりが後ろを振り向くと、黒いコートしか着ていない背の高い男がいた その男はゆっくりを不思議そうな目で見ている ゆっくりは男に向かって言う 「ゆっくりしていってね!!!」 男はぎょっとしたような表情になり、ゆっくり達を3匹ほど持ち上げる 男は何か言っていたがゆっくりには理解できない さっきのこともあり、ゆっくりは仲間を救おうと男にぶつかる しかし男は無反応、当然である 男はぶつかてきたゆっくりも拾おうとするが生命の危機を感じたゆっくり、その場から逃げ出してしまった 抱えられたゆっくりはその逃げだしたゆっくりを非難する 男はゆっくりたちが「ゆっくり」という単語に敏感に反応することを知り、 男がお前達はゆっくりできるぞと言うと、ゆっくりは無邪気に喜んだ その後、男の黒い体から出てきた口にゆっくりは飲み込まれた 男は甘い味がするのに驚いていたがゆっくりには関係ない事だった 一方逃げ出したゆっくりは公園の外に向かって跳ねていた もうすぐで出られる…と公園の出口に向かって飛んだ瞬間、そのゆっくりは真っ二つにされた ゆっくりの前にはナイフを持った邪気眼がいた その邪気眼はゆっくりに 「まともじゃないよな、お互いさ」 と言い捨てると、いずこへと去っていった あるゆっくりは草むらにいた 草むらにいると少年にボールをぶつけられた ボールをぶつけっれたゆっくりはボールの中に入り込んで自力では出れなかった 「ここからだして!おうちかえる!!!」 と叫んでみても無駄骨にしかならない そしてしばらくした後ゆっくりは外に出された ゆっくりの正面には今まで見たことのない生き物がいた 訳の分からないままゆっくりは混乱して動けなかった そんなゆっくりを正体不明の生き物は拳で殴りつけた 反撃をしないのをいいことに、何度も何度も殴りつけた そのうちゆっくりの皮が破れ、そこから餡子が溢れ出し、ゆっくりは息絶えた その生き物の拳がグローブみたいになっていることはもう覚えている必要はないに違いない あるゆっくりは箱の中にいた 箱は狭く、上手く動けない しばらくすると、箱の上部分が開いた 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりはいつもの台詞を吐いた しかしそれも無駄、ゆっくりは気づいた時は男の口の中だった 「うまい!うますぎる!」 一人の潜入工作員が喜んでいた あるゆっくりは荒野にいた その荒野は鉄やコンクリートがたくさん埋まっていた しかしゆっくりには見慣れない光景である ふと、ゆっくりの近くで大きな音が聞こえた その音はバイクのマフラーの音であることをゆっくりたちは知らない その音はゆっくりに近づいているようだった ゆっくりはいつもの言葉を言おうと思った 「ゆっくりしていtぶぎゅぅ!!?」 ゆっくりは猛スピードで迫りくる車輪に踏み潰された そしてバイクに乗っている男達は 「ヒャッハッハッハッ水だ―――っ!!」 と叫びながら奪った水を浴びていた あるゆっくりは空間と共に粉みじんにされた あるゆっくりは探偵の腹の中に納まった あるゆっくりは床が抜けて海へ大量の人々と共に落とされた あるゆっくりはピンクの悪魔に吸い込まれた あるゆっくりはかもされた あるゆっくりは光の巨人に踏み潰された あるゆっくりは宇宙空間に飛ばされ考えるのをやめた あるゆっくりは改造されてメカゆっくりにされ少年にぼうっきれで叩かれ動かなくなった あるゆっくりはいた星をメテオで砕かれ滅亡させられた あるゆっくりは純粋酸素を吸って動けなくなった あるゆっくりは海の底に沈められた あるゆっくりは朝日と共に灰になった あるゆっくりは… あるゆっくりは… あるゆっくりは… あるゆっくりは家の中にいた しかしその風景はどこかで見覚えのある風景だった 「ゆ!ここならゆっくりできるよ!!!」 ゆっくりは机の上においてある味噌汁をひっくり返して空腹を満たしていた するとどこからか男が現れゆっくりに声をかけた その男の目が殺気に満ちていることは言うまでも無い ゆっくりは当然の顔でいつもの台詞を吐いた 「ゆっくりしていってね!!!」 END by GIOGIO このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2892.html
その5より 「おおおにいさん!! きょきょきょうは、れれれいむをぎゃくたいしてね!!!」 翌日、れいむは男の足音が聞こえてくるや、男の言葉を待たずして、精一杯の声でそう叫んだ。 そうでもしないと、奮い起した勇気がいつ萎んでしまうか分からないからだ。 現に、今のれいむは朝から一度も震えが止まらなかった。 しかし、言ってしまった以上、後戻りはできない。する気もない。 自分の存在意義がかかっているのだから。 「ほう、ようやくお前の出番が来たか。待ちくたびれたよ」 男はさも嬉しそうに、扉越しに声をかける。 対して、まりさとありすは、何を馬鹿な事を!! と言わんような口調で、れいむに詰め寄ってくる。 「れいむ!! なにをいってるの!! ゆっくりばかなことはいわないでね!!」 「そうよ、れいむ!! れいむがぎゃくたいされることはないわ!! ここは、まりさととかいはのありすに、まかせておけばいいのよ!!」 まりさもありすも、予想通り、れいむを止めにかかる。 しかし、ここで虐待を止められるわけにはいかないのだ。 まりさと対等になるためにも。 ありすより先に、まりさにプロポーズするためにも。 「まりさ、ありす、ゆっくりありがとう!! でもれいむはへいきだよ!! きょうは、ゆっくりしていってね!!」 「ゆぅぅ!! うそつかないでね、れいむ!! こえがふるえてたよ!! れいむがいじめられることなんてないんだよ!! きょうはまりさにまかせてね!!」 「もうきめたんだよ、まりさ!! それに、いつまでもまりさとありすにたよってばっかりじゃいられないよ!! ゆっくりりかいしてね!!」 「れいむこそゆっくりりかいしてね!! れいむがいじめられること、ないんだってば!!」 「なんといわれても、れいむのかんがえはかわらないよ!! おにいさん!! ゆっくりはやく、れいむをつれていってね!!」 埒が明かないと感じたれいむは、さっさと男に連れて行けと要求する。 いつまでもまりさやありすと話をしていると、せっかく奮い立たせた勇気が萎えてしまいそうになるのだ。 そのため、多少強引ではあったが、れいむは二匹との会話を切り上げた。 「ふふ、久しぶりに、れいむを苛め倒すことが出来るよ。楽しみで仕方がないぜ」 男はれいむの部屋の鍵を開けると、扉を開けた。 その手には、一月ぶりに見る、恒例の箱が収められている。 この部屋と虐待部屋を行き来するのに、かつて男が使っていたものだ。 れいむはそれを見るや、体が委縮してしまう。これから虐待をされるのだと、否応なしに思い知らされるのである。 「さあ、れいむ。この箱の中に入れ」 男が木箱の蓋を開けて、命令してくる。 両壁からは、突然まりさとありすの声が聞こえなくなった。 何を言っても無駄だと気づいたのだろうか? それはそれで好都合だが、いざ声が聞こえてこないと不安になってくるのも事実だ。 生物(?)の心理とは、本当に不思議なものである。 れいむが完全に入ったことを確認した男は、木箱の蓋を閉める。 そして、れいむに一言言葉をかけた。 「お前だけは、利口なゆっくりだと思っていたのに、どうやら俺の見込み違いだったようだな」 利口なゆっくり。 この場合、頭がいいという意味ではなく、卑怯・狡猾という意味であろう。 二匹に虐待を任せ、一匹気楽に過ごしていたれいむに対する皮肉であろうか? 何とでも言うがいいと、れいむは心の中で反発した。 男は知らない。 虐待されることこそが、れいむの望みであることを。 これこそが、自分がこれから生き残る上での最善の方法であることを。 虐待されることは、すなわち将来への布石なのだといういことを。 自分が勝者だとおもっているであろう男は、れいむから見たら自分に従って動くピエロのようなものであった。 男の規則正しい足音が聞こえ始めた。移動を開始したのだろう。 これから一か月ぶりに、れいむは虐待を受ける。 れいむは、再度耐えしのぐ決意を固めた。 およそ一月ぶりに受けた虐待は、予想通り、死んだ方がマシといえるほど苦しいものであった。 それでもれいむは必死に歯を食いしばり、男の責苦に耐え続けた。 悪魔の拷問ような一時間が過ぎた時、れいむはあまりの激痛に意識を手放してしまった。 それでも男はきっちり時間どおり終えて、部屋に戻してくれた。 れいむが目を覚ましたのは、翌日の朝方であった。 虐待を受けてから、丸々20時間近く眠っていたことになる。 昔は虐待を受けても、ここまで長く休息を取ったことはなかった。 やはり、久しぶりの虐待に、体が付いてこなかったのだろう。 れいむは起き上がると、未だ痛みの引かない体を引きずりながら、ドッグフードと水の置かれている部屋の隅に向かい、もそもそと食べ始めた。 まりさとありすはまだ寝ているのか、物音一つ聞こえなかった。 少し残念ではあるが、れいむももうひと眠りしたいので、好都合でもあった。 何しろ、れいむは今日も男の虐待を受けるつもりなのだから!! まりさやありすに言えば、絶対に反対されるだろう。昨日の様子を見て入れば、考えるまでもない。 しかし、虐待を一回受けた程度でまりさと対等になったなどというおこがましいことは、さすがにれいむも考えていなかった。 まりさの受けた回数と同じとまではいかなくとも、少なくとも一週間分くらいは虐待を受けなくては、まりさと同じ位置に並べない。 だからと言って、ありすがいつまりさに告白するか分からない以上、三匹で順番に虐待されるなんて、悠長なことは言っていられない。 ほんの一月前までは、毎日のように虐待をされ続けてきたのだ。 それでも、れいむは生きている。悔しいが男の加減は、それだけ正確なのだろう。 これで障害が残ったりするなら考え物だが、そんなこともない以上、れいむは今日も明日も明後日も虐待してもらわなければならない。 そのためには、まず体力を回復させることが、何をおいても重要である。 れいむは食べ終わると、再び男がやってくるまで、眠りについた。 「れいむ!! いいかげんにやすんでよ!!」 「そうよ、れいむ!! これいじょうむりはやめてね!!」 れいむが虐待される決意をしてから、一週間が経過した。 まりさとありすは、2〜3日はれいむを説得し続けたが、れいむが以前のありすのように意志を曲げないと分かると、次第にれいむの心意気をくんでくれるようになった。 しかし、それでいて二匹のこのセリフ。れいむを行かせまいと必死で止めている。 納得したというのに、二匹がれいむを止める理由。 それは、れいむがこれで一週間連続で虐待をされ続けているためである。 どんなに止められようと、れいむは虐待され続けた。 男もそんなれいむの狂気じみた様子に、何か思うところがあったのだろうか? れいむの言い分を聞いて、毎日虐待をし続けてくれた。 しかし、虐待を受けているというのに、れいむは嬉しかった。 自分の思い通りに事が運んでいることに満足していた。 れいむにどんなにやる気があろうと、目下最大の懸念は、男がれいむを指名してくれるかというものであった。 如何に自分から名乗り出ようと、れいむを心配するまりさとありすも必ず名乗りを上げてくる。 心配してくれるのは嬉しいのだが、この時ばかりは、二匹のお節介も鬱陶しいと思わざるを得なかった。 気分屋の男だ、その日の気分次第ではれいむを虐待してくれないかもしれない。まりさやありすを選ぶかもしれない。 しかし、れいむには時間がないのだ。最短でまりさと対等にならなければならないのだ。 それを男は見据えているかのように、れいむを虐待してくれる。 れいむは、すんなりと事が運ぶことに満足し、今日も虐待の痛みに必死で耐えた。 虐待が終わり、れいむは部屋に戻された。 いつもなら食事をしてすぐに寝付くのだが、今日のれいむは中々寝られなかった。 嬉しかったのだ。 れいむの目安としていた一週間が終わったのだ。 これでやっとまりさとありすに、負い目を感じることはなくなる。 まりさと同じ高さに立てる。 そう考えると、ついついニヤケ面になってしまい、体の痛みも忘れてしまいそうになる。 そんなれいむに、両隣から声が掛って来た。 「れいむ!! だいじょうぶなの!?」 ありすの声である。 余程心配だったのだろう。 れいむの企みを知らぬありすは、必死にれいむの名を呼び続けてくる。 「れいむ!! あしたはぜったいにまりさがぎゃくたいされるからね!! これいじょう、れいむがいくんだったら、ぜっこうだよ!!」 まりさの言葉。 絶交とは、温和なまりさがよく口にしてきたものである。 危なかった。ノルマが達成した後で助かったものだ。 まりさと一緒になるために頑張っていたのに、そのまりさに嫌われてしまっては、本末転倒である。 「ゆっ……わかったよ、まりさ……あしたは……まりさにまかせる…ね……」 「ゆっ!?」 今まで頑として、まりさの言葉に耳を傾けなかったれいむが、いきなり素直になったのを受け、まりさは言葉を詰まらせた。 しかし、れいむの言葉はまりさにとっても、嬉しかったのだろう。 久しぶりに、まりさの声が落ち着きを取り戻した。 「ゆうぅ!! やっとれいむが、まりさのいうことをきいてくれたよ!!」 「ごめんね……まりさ………しんぱいばっかり……かけて」 「まったくだよ!! ゆっくりはんせいしてね!!」 「ゆっくり……はんせいするよ……」 「れいむ!! あしたはまりさだけど、そのつぎはありすがいくからね!!」 「ゆっ……ゆっくり…りかいしたよ……ありす……がんばってね……」 「まったく、しょうがないわね!! あとはとかいはにまかせなさい!!」 「おねがいね、ありす……でも……そのつぎは………またれいむがいく……からね」 「なにいってるの、れいむ!! れいむはしばらくおやすみよ!!」 「そうだよ、れいむ!! あとは、まりさとありすにまかせてね!!」 「だめだよ……れいむだって……まりさとありすの……やくにたちたいよ……ゆっくりなかまはずれは……やめてね」 「ゆぅぅ……やっぱりれいむはいじっぱりだよ!!」 まりさは最後に困ったような言葉を吐きながらも、最終的にはそれを認めてくれた。 元々、れいむが虐待をされることに反対だったわけではなく、れいむの行き過ぎる行いに対して苦言を呈していたのである。 れいむがしっかりと順番を守ってくれるのなら、まりさはれいむの意志を尊重してくれるつもりなのだ。 やはり、まりさは最高のゆっくりである。 この一週間、地獄の苦しみに耐えたかいがあったというものだ。 これで、準備は整った。 後はありすより先に、まりさに告白をするだけ。 しかし、物事にはタイミングというものがある。 少しでも確率を上げるためにも、その時に告白するのがベストだろう。 あの呑気でお人よしのれいむは、この時もうすでに存在していなかった。 世の物事すべてを損得の計算で考えられるように変わってしまったのである。変わらざるを得なかったのである。 それだけこの異常な空間が、れいむを変えてしまったのである。 しかし、れいむは自分が変わってしまったことに気付きもしない。いや、例え気づいていても、どうも思わないだろう。 すでに賽は投げられたのだ。 もう振り直しは出来ない。どの目が出ようと、突き進無以外道はない。 れいむは、そのまま少しの間二匹とお喋りをし、その後すぐに意識は深い深い海の底に落ちていった。 自分の成功を信じながら。 れいむの無茶苦茶な一週間が終わり、まりさとありすを含めて、三匹でサイクルを組んで虐待される日々が始まった。 すでにまりさ→ありす→れいむと一回り虐待は終了しており、今日はサイクルが始まってから、れいむが二回目の虐待を受ける日であった。 それと同時に、れいむが例の作戦を実行に移し出すと決意した日でもあった。 今日、男の虐待から戻ってきたら、まりさに告白しよう。 れいむはそう決めていた。 そのタイミングを選んだ理由はいくつかある。 一つ目は、虐待帰りだということである。 普通に告白をするより、虐待を受け心身ともに疲れている方が、まりさの気を買えるだろうという、れいむなりの考えである。 それなら、虐待一週間を終えたすぐの方がいいのではと思うかも知れないが、これについても、れいむなりに思うところがあった。 あの場で告白してしまったら、れいむの考えを見透かされる可能性があったからである。 見透かされるとは、虐待を受け続けた理由が、まりさに告白するためだとバレテしまうことを意味する。 そんなことを知られては、計算高いゆっくりだと、逆に引かれてしまいかねない。 しかし、数日置けば、さすがにそこに結びつけることはなくなるだろう。 二つ目は、あまり悠長に構えている時間もないということである。 作戦はただ告白するだけでなく、ありすより先にするというのが根幹の部分にある。 れいむも出来ることなら、もっと時間を置きたいのだ。 虐待のノルマを達成したといっても、それは所詮れいむだけが考えていることである。 まりさからすれば、れいむなんてまだまだ苦しんでないよと感じられるかもしれない。 だからこそ、今後もっと虐待を受け続けていけば、それだけまりさに近づくことが出来るのである。 しかし、悠長に構えていてありすに先を越されてはたまらない。 そういった様々な要素を考えまとめ、れいむは今日まりさに告白することを決意したのである。 男に虐待部屋に連れてこられ、今日も虐待が始まった。 その日れいむに怯えはなかった。 いざ告白を決意しても、ちゃんとまりさに伝えることが出来るか不安でいっぱいなのだ。 それに、ちゃんと告白できたとしても、まりさがれいむの告白を受けてくれるかどうかも分からない。 その気持ちが、虐待の不安を押し退けてしまったのである。 体が虐待に慣れてきたことや、虐待内容が以前行われた事の繰り返しであるということも、れいむにあまり不安を与えない要因となったのだろう。 れいむは、虐待の痛さに必死で耐えながらも、頭の中では今後のことばかりを考えていた。 虐待は終了し、れいむは部屋に帰された。 いよいよ告白の開始である。 痛さと疲れはあるものの、ゆっくりのくせにアドレナリンでも出ているのか、れいむはそれをほとんど感じなかった。 ゆっくりは思い込みの生物であるという学説がある。 思考のすべてを今後のプロポーズに費やしたれいむは、自分が痛いということを忘れてしまい、それが体にも影響しているのかもしれない。 ある意味羨ましい体である。 と、れいむがどういうふうに切り出すか悩んでいると、当のまりさの方かられいむに声をかけてきた。 「れいむ!! ゆっくりだいじょうぶだった?」 「ゆぅ!! ゆっくりだいじょうぶだよ!! ぜんぜんへっちゃらだよ!!」 いつも通りのやり取りであるが、れいむは言葉にしてからしまったと思った。 虐待後を狙ったのは、苦しみながらも告白することで、まりさの気を最大限引き寄せる効果を狙ってのつもりだったのに、うっかりと普通に話をしてしまった。 考えに夢中で痛さを感じないのも良しあしである。 こうなったら作戦実行日を変えるか? いや、やはりそれは出来ない。 ありすがいつ告白してくるか分からないのだ。あまり時間はかけたくない。 それに、せっかく今日に計画を合わせてきたのだ。 れいむは気持ちの面でも最高潮に達している。今なら、れいむの有りっ丈の気持ちをまりさに伝えきることが出来る。 れいむは、無駄な事を考えることは止めた。 最初から出鼻を挫かれたのだ。もう怖いものなどありはしない。当たって砕けろ!! いや、砕けたくはないけど、そんな意気込みで言え!! 本心をまりさにぶつけることにした。 「まりさっ!!」 「ゆっ!? なあに、れいむ?」 「れいむは、まりさがだいすきだよ!! まりさのことを、ゆっくりあいしているよ!! れいむといつまでもゆっくりしていってね!!!!」 「!!!」 言った!! 言ってしまった!!! もう後には引けない。賽は投げられた。 れいむの愛の告白に、まりさは何も返事を返してくれなかった。 しかし、一瞬、言葉に詰まった様子を見せた。相当驚いているのだろう。 こんな場合だというのに、告白なんてしてくるんだ。無理もない。 れいむは緊張で、喉(?)が乾いて仕方がなかった。 一刻も早く、水を飲みたい。 しかし、まりさの返事を聞くまでは、なんとか我慢するつもりだった。 壁越しの告白のため、姿は見えないのだが、水を飲んでしまったらまりさに振られる気がしたのだ。 様は願掛け、気分の問題である。 30秒が過ぎ、一分が経過しても、まりさは一向に口を開かなかった。 さすがにれいむも焦りだした。 やはり、まりさはれいむのことを好きじゃないのか? れいむじゃ、まりさには釣り合わないのか? 様々な感情が去来する。 しかし、ようやくまりさが口を開いて来た。 考えが纏まったのだろう。 「れいむ……れいむのきもちはうれしいよ」 「ゆっ……」 「まりさもれいむがだいすきだよ……」 「ゆゆっ!!」 「……」 そう言って、まりさは再び沈黙してしまう。 大好きだよ。 愛の告白をして大好きを言われたのだから、普通に考えれば、れいむの気持ちを受け止めたと考えていいのかもしれないが…… その後の間が嫌な気分にさせる。 なんとか傷つけないように断る手段を考えているような気分を感じさせる。 れいむは、やはり自分ではダメだったのかと弱気になった。 しかし、次の瞬間…… 「だから!! だから、まりさといっしょに、いつまでもゆっくりしていってね!!!」 …… ……… ………… れいむは唖然としてしまった。 もう十中八九、玉砕を覚悟していた。 それなのに、まりさはれいむの気持ちをしっかりと受け止めてくれた。 れいむは、ただただ感情を整理できず、言葉を詰まらせた。 「れいむ、どうしたの?」 何も話してこないれいむが気になったのだろう。言葉をはさんでくる そんなれいむの心情に気付かないのが、まりさらしいと言えばまりさらしい。 れいむは、とにかく何か話さなければ、言葉を掛けなければと、考えを纏め上げようとしたが…… 「ゆ……ゆゆ………ゆゆ……」 「ゆっ?」 「ゆ……ゆあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁ――――――――――――んんんんんん!!!!!!!」 「れ、れいむ!! どうしたの!!」 一気に感情が爆発してしまった。 爆発は涙となって、れいむの目から止めどなく溢れてくる。 嬉しかった。まりさが自分を選んでくれたのが。 嬉しかった。あの虐待された日々が、無駄ではなかったことが。 嬉しかった。れいむにはっきりと居場所が出来たことが。 れいむは、今までの自分の行動を振り返り、延々と泣き続けた。 「れいむ、なきすぎだよ!!」 「ゆぅ……ゆっくりごめんね、まりさ!! でも、れいむ、すごくうれしかったんだよ!!」 「まりさもうれしかったよ!! れいむがすきといってくれて!!」 「まりさ!!」 「れいむ!!」 ようやくれいむは泣きやんだ。泣きやむまで、実に10分もの時間を費やしてしまった。 れいむは水が飲みたかったことも忘れ、まりさとの話に興じ始める。 「れいむ!! いまはできないけど、けっこんしきはここをでられたらゆっくりしようね!!」 「ゆぅ!! そうしようね!!」 「それから、れいむはまりさのおうちにゆっくりくるといいよ!!」 「ゆゆっ!? いいの!!」 「あたりまえだよ!! れいむのおうちはまだできていないんでしょ? それに、れいむはまりさのおよめさんだもん!! いっしょにくらすのは、ゆっくりあたりまえだよ!!」 「ありがとう、まりさ!!」 「まりさのおうちはおっきいよ!! にんげんさんのおうちみたいにおっきいから、ゆっくりたのしみにまっててね!!」 「ゆっ!! ゆっくりたのしみだよ!! ゆっくりはやく、まりさのおうちにいきたいよ!!」 「あと、おちついたら、はねゆーんにもいこうね!!」 「ゆっくりたのしみにしてるよ!!」 人間のお家と同じくらい大きいとは、まりさも大げさに出たものだ。 まあ、所謂物の例えだろう。 しかし、れいむは「うそつかないでね!!」なんて、無粋なセリフを吐くつもりはない。 まりさは、れいむを喜ばせるために言っているのだろう。れいむだって、そのくらい分かるつもりだ。 こんな幸せなひと時を、自分から壊す必要はない。 自分の居場所が出来たばかりか、出会ったときからずっと好きであったまりさと、これからは永遠にゆっくりすることが出来るのだ。 れいむの頭の中は、まりさとの会話でいっぱい幸せいっぱいで、何にも考えられなかった。 しかし、次にまりさが言った言葉が、れいむに重要なことを思い出させた。 「ありす!! ありすも、まりさとれいむを、ゆっくりしゅくふくしてね!!」 「!!!」 そう、作戦が完璧なほどに決まったことで浮かれまくってしまい、すっかりありすのことを忘れていたのである。 れいむはなんと言葉をかければいいか分からなかった。 そもそも勝者であるれいむが、敗者であるありすにかける言葉なんて、どれも陳腐に聞こえるだろう。 裏切ったれいむの言葉なんて、都合のいい言葉としか感じないだろう。 事実、れいむの心の中は、ありすへの優越感で満たされている。 何とか考えずにいようとしても、すぐに思考の中に入り込んできてしまう。 とても甘美な麻薬のようなものだ。 れいむの口から出る言葉も、自然とありすを見下すものになってしまうだろう。 しかし、ありすへの背信行為をしておきながらも、ありすとは親友でいたい。嫌われたくない。 これもまたれいむの本音だった。 それは、勝者だからこそ持ち得ることが出来る、自分に甘く都合のいい考えである。 ありすのことを全く考えてない、自己中心的な思考である。 しかし、例えそれが分かっていようと、れいむはありすとの友情も諦めきれなかった。 それだけありすのことが好きだったのだ。 ありすは、まりさの言葉に、なかなか返事を返さない。 一体、どんな心中でいるのだろう。 自分を裏切り、まりさを手に入れたれいむに、仕返しでも考えているのだろうか? それとも、まりを諦めきれず、虎視眈々とまりさを奪う算段でも整えているのだろうか? 何とかありすに言葉を掛けなければならない。 親友でいてもらうためにも。 れいむが、なんて声をかければいいのだろうと、頭を悩ませていると、ようやく当の本人から反応が返ってきた。 「おめでとう!! れいむ!! まりさ!!」 その言葉に、特に棘があったようには聞こえなかった。 いつものやさしさに満ちたありすの声に聞こえたきがする。 心から祝福しているような気がする。 「ゆっ!! ありがとう、ありす!!」 まりさが祝福を受け、感謝の意を示す。 「けっこんしきには、ぜったいにありすをよんでね!!」 「あたりまえだよ!! ゆっくりかならず、ありすをよぶよ!!」 「ゆっくりれいむをたいせつにしてね!!」 「ゆっくりやくそくするよ!! れいむをいつまでもかわいがるよ!!」 その後、まりさとのやり取りを終えると、ありすはれいむにも声をかけてきた。 「れいむ、おめでとう!! まりさとゆっくりしてね!!」 「ゆっ……ありがとう、ありす……」 「けっこんしても、ありすとはしんゆうでいてね!!」 「ゆぅぅ……」 ありすはれいむを祝福してくれた。 そればかりか、れいむに対して、親友でいてくれとまで言ってくる。 れいむは自分でありすを裏切っておきながら、ありすの寛大な態度に居たたまれなくなった。 それと同時に不審に思った。 ありすは悔しくないのだろうか? 悲しくないのだろうか? れいむがありすの立場なら、決して自分を許さないだろう。 なのに、ありすは祝福してくる。れいむが最も望んでいた言葉をかけてくる。 腑に落ちなかった。自分に都合がよすぎる。 昔のれいむなら、その言葉に何ら疑問を抱かなかっただろう。 しかし、今のれいむは、物事を計算で見るようになってしまっている。 ありすの言い分は、そんなれいむを納得させるには、あまりにも納得の出来ない言葉だった。 折角想いに想っていたまりさと一緒になることが出来たのだ。 なのに、つまらないことで将来への希望を壊されるようなことは、絶対にあってはならない。 本当にありすは自分たちを祝福してくれているのか? 何か不穏当な考えを持っているのではないか? もしありすが何らかの手で自分を陥れようとしているのなら、何が何でも防がなくてはならない。 例え、今後ありすとの友情が壊れようと。 れいむは、ありすの真意を測ることにした。 一夜明けた翌日、今日はまりさが虐待される日である。 男はまりさを虐待部屋へと連れていった。 今がありすと話す絶好の機会である。 れいむは、ありすのいる壁際の方に行くと、真意を質すべく、核心をぶつけた。 「ありす、おきてる?」 「ええ、ゆっくりおきてるわ!!」 「ありす!! れいむ、ききたいことがあるよ!!」 「なにかしら?」 「きのうのことだよ!! ありすは、れいむにまりさがとられて、かなしくないの?」 「……」 「まりさがすきじゃなかったの?」 「……」 「れいむをうらんでいないの?」 「……」 「ねえ、どうなの、ありす!!」 れいむの問いに、ありすは中々反応を示さない。 れいむはゆっくりとありすが言葉を出すまで待ち続けた。 ようやくありすが口を開いて来たのは、一分後であった。 「……くやしいわよ!! かなしかったわよ!! ありすはまりさがすきだったんだもの!!」 ありすは、自分の隠していた感情のすべてをぶつけるかのように、大きな声で叫んできた。 これには、さすがのれいむも、少なからず動揺した。 ありすがこうまで生の感情を出してくるとは思わなかったのだ。 「それじゃあ、どうして……」 「……だって、しょうがないじゃない!! これはこいのかけひきなんだもの!!」 「ゆっ?」 「れいむは、じぶんのことをどうおもってるの? ありすのことをうらぎったとおもってる?」 「ゆぅぅ……それは……」 「さいしょはありすもそうおもったわ!! れいむにうらぎられたって!! でも、じっさいはそうじゃない!! まりさはだれのものでもないんだもの!! まりさにこくはくするのは、れいむのじゆう!! それをうけるのもまりさのじゆう!! そこのありすのはいるよちはないわ!!」 「……」 「ありすがまりさにさっさとこくはくしなかったのもいけなかったしね!! まりさのあいてが、れいむならなっとくだわ!! それに、まりさはれいむのことがすきだったみたいだから、こくはくしてもたぶんふられていたけどね!!」 「ありす……」 「だからありすはあきらめたの!! かこをふりむかないことも、とかいはのたしなみよ!! だから、れいむがきにすることはないわ!! これからもありすのしんゆうでいてね!!」 「……ありす!! ありがとう!! ありがとう!!」 「かんしゃすることなんてないわよ!! ここからでられたら、まりさいじょうにすてきなゆっくりをみつけてやるんだから!!」 「ありすならきっとみつけられるよ!!」 「ありがとう、れいむ!!」 れいむはここに来て以来、三回目の衝撃を受けた。 自分はなんて小さいのだろう。ありすと言葉を交わし、嫌というほど思い知らされた。 自分は決してそんな風に考えられない。 ありすの立場なら、絶対に嫉妬をせずにはいられない。 しかし、ありすはどこまでいってもありすだった。 優しく他人を思いやれるゆっくりだった。 本当に心の底から、れいむとまりさを祝福してくれていたのだ。 れいむは、ありすを疑ったことを悔いた。 そして、同時に感謝した。 こんな最高のゆっくりと知り合えたことを。 ありすと親友になれたことを。 「ありす!! れいむとありすはいつまでもしんゆうだよ!!」 「もちろんよ!!」 れいむは、今最高に幸せだった。 隣には愛するまりさと、親友のありす。 例え姿は見えなくても、スリスリ出来なくても、心が繋がっている。 それが感じられるだけで満足だった。 しかし、今日の幸せはそれだけに留まらなかった。 まりさが虐待を終えて帰ってきた。 それと同時に、壁越しに男からとんでもない一言が飛び出してくる。 「お前たち。今日でお前らの虐待は終了する」 「!!!」 突然の男の発言に、れいむは驚きのあまり、餡子を吐いてしまいそうになった。 何とか飲み込んで、事なきを得たが。 「ゆっ!!! ほ、ほんとうなの!?」 「ああ。飽きてきたしな。明日、部屋から出してやるよ!!」 「ゆうううぅぅぅぅぅぅぅ―――――――!!!!!」 れいむが雄たけびを上げる。 まさか、婚約した翌日に、この辛く苦しい虐待まで終わることになるとは!! 人間でいえば、盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たようなものである。 「やったああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――!!!!」 遂に、遂にここから出られるのだ。 まりさとありすに会えるのだ。 スリスリ出来るのだ!! 隣では、二匹とも感無量なのか、一言も言葉を発しなかった。 「それじゃあな」 そう言って、男の足跡は遠ざかっていく。 れいむは、すぐさま二匹に声をかける。 「まりさ、ありす!! でられるんだよ!! やっとここからでられるんだよ!!」 「ゆう!! ながかったよ!!」 「やっと、ここからでられるのね!!」 「まりさ!! あしたはいっぱいすりすりしようね!!」 「ゆっ!! そうだね。れいむ!!」 「あしたがたのしみね!!」 「ゆっくりたのしみだよ!!」 れいむの頭の中には、男が嘘を付いているという考えは一切ない。 別に昔の純粋なれいむに戻ったという訳ではなく、単に嬉しすぎて頭が回らないのだ。 もっとも、男はちゃんと出してやるつもりなので、考えたところで、れいむの杞憂に終わるのだが。 早く明日が来ないだろうか? れいむは浮かれて、なかなか寝付けなかった。 その7へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2798.html
色々設定借りてます。 文章をほとんど書いたことないので注意。 「ちょうちょさん!まりさにゆっくりつかまってね!」 多くのゆっくり達がそこそこ平和に暮らしている森。 その一角でゆっくりまりさは蝶を追いかけ、ぽいんぽいんと跳ね回っていた。 遊んでいるのではない。家族のために必死でご飯集めをしているところだ。 綺麗な蝶を持ち帰りれいむと子供達を喜ばせたいと、何度捕まえるのに失敗してもへこたれずに頑張っていた。 「おーいまりさ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!ゆあ!ちょうちょさんが…」 そんなまりさに誰かが近づいて声を掛けてきた。 まりさが反射的に挨拶を返している間に蝶はひらひらと遠くへ飛んで行てしまう。 「ゆゆ!……まりさになにかごようなの!?」 「ごめんね。ちょっと見て欲しいものがあるんだ」 少し腹立たしさを覚えて振り向くと相手は高い所に顔があった。人間だ。 人間は美味しいご飯を独り占めにしたりゆっくりプレイスから追い出したり、ゆっくりさせないと聞いたことがある。 まりさは許せないと、膨れて強さを見せ付けようとした。だが思い直す。 人間はゆっくり流の挨拶をしてきたのだから、もしかしてゆっくりさせてくれるかもしれないと。 それに何かゆっくり出来ない事をして来るなら自慢の体当たりで追い返せばいいのだ。 まりさは悠然と構え、人間の相手をしてあげることにした。 まりさに声を掛けたのは若い青年だ。 青年は落ち着いたまりさを見て、かぶっていたまりさの物と良く似た黒い帽子を脱ぎ、 まりさの目の前に持っていき中を見せたり、逆さまにして軽く叩いたりし始める。 「ゆ?ゆ?おぼうしがどうかしたの?」 「この通り帽子には何もないよね?でも今から魔法でこの帽子の中からあまあまさんを出してみせます」 「ゆ!あまあまさんはゆっくりできるんだよ!どこにあるの!?」 まりさはあまあまという言葉を聞いて不機嫌さが吹き飛んだ。 仲間からあまあまは森の中にあるどんなご飯よりゆっくり出来る物だと聞いた事があるのだ。 嬉しくなってもうどうにも抑えきれずに、ぴょんぴょんと跳ね回って人間の足に頭をぶつけてしまうほどだ。 青年はドタバタ騒ぎ出したまりさを手で制し落ち着くまで待ってから、白いハンカチを取り出し ヒラヒラさせてから帽子の上にかぶせた。 「それでは…チチンプイプイ!あまあまさん出て来い!」 ドサドサ! 「ゆゆゆ!?」 青年が何事かを唱えてハンカチを取り帽子を逆さまにすると甘い匂いがする物がたくさんまりさの目の前に落ちてきた。 何も無かったはずなのにどうして? まりさは目をパチクリさせてぽかーんと口を開けることしか出来なかった。 青年は飴玉の包みを取って呆けているまりさの口に運ぶ。 「ゆ!ゆゆーん!ぺ~ろぺ~ろ、し、しあわせ~!!!」 何とゆっくりした味なんだろう。ほっぺがどうにかなってしまいそう。 今まで味わった事が無い甘さにまりさは左右に体をくねらせて夢見心地だ。 「おにいさんこれめっちゃうめーよ!ぜんぶまりさにちょうだいね!」 「だーめ、一つだけね。そーれ…チチンプイプイ!」 「ゆゆ!?ないよ!?きえちゃったよ!?」 まりさが我に返って人間の方に注意を向けた時、飴玉の最後の一個が帽子に入っていく所だった。 青年は何事かを唱えて帽子を逆さまにする。 何も落ちて来ない。帽子に入ったはずの飴玉が消えてしまったのだ。 まりさは帽子の中を穴の開くほど見つめるが欠片一つも見つからない。 不思議すぎて、奥が見えているのに中に入ろうとしてしまうほどだ。 青年はそんなまりさをまた手で制して、帽子マジックを何度も繰り返す。 「びっくりー!どうなってるの!?ゆめじゃないよね! にんげんさんのおぼうしからあまあまさんがでてくるなんてしらなかったよ!! にんげんさんのおぼうしってすごいね!!もういっかいやってみてね!!」 飴玉が現れたり消えたり、何度見てもすごくて目が離せない。 驚きのあまり言葉が止められない。 とても興奮してぴょんぴょんと跳ねずにもいられない。 青年はそんなまりさの様子を口元を手で隠し眉間にしわを寄せながら見つめていた。 「にんげんさんがうらやましいよ!おぼうしからあまあまさんがでるな…ゆゆ!? まりさのおぼうしからもあまあまさんがでる…の?そういえばためしたことなかったよ! にんげんさん、どうなの!?」 「んー、もしかしたらいっぱい頑張れば出るかもな」 「ゆゆーん!!!」 まりさは素敵な事に気が付き、お墨付きももらって有頂天だ。 目の色を変えて、もう待って入られないとばかりに体を乱暴に揺らして帽子を地面に落とすと、 口にくわえて上下に振り始める。 「まりさのすてきなおぼうしさん!あまあまさんをだしてね!ゆ!ゆ!」 もうまりさの頭の中ではあまあまが出ることが確定していた。 ゆっくり出来る素晴らしい一生が保証されたようなものだ。 キノコや芋虫等より美味しいあまあまを家族にもいっぱい出してあげたい。 食卓で家族に褒めちぎられている場面を想像して「ゆへへ!」と笑い出して帽子を落としたりしながら、 もう青年が眼中にないくらい夢中で、あまあまが出てくれることを願い帽子を振り続ける。 青年はまりさをしばらくじっと見つめた後、そっとその場を離れて行った。 「くくくっ…可愛い奴だ…」 その後まりさはお帽子からあまあまを出そうとご飯集めも忘れて奮闘したが、出てくるのは草の破片や砂ばかり。 はっと気が付いた時にはもう辺りは暗くなりつつあった。 れみりゃに食べられてはたまらないとあわててお家に飛んで帰る。 待っていたのはご飯を持ってこなかったまりさへの非難の嵐。 素直に謝っておけば良かったのだが、まりさが言い訳や反論をしたため犬も食わない夫婦喧嘩が勃発した。 やがて喧嘩は治ったが、まりさと親れいむは体当たりバトルで所々皮が破れてボロボロだ。 れいむは作り笑いをしながら、隅で固まり恐怖に身をすくめていた子供達を呼んだ。 不本意ながら少ない予備の食料での夕食タイム。 もちろん変な言い訳をして子供達にいらぬ期待を持たせたまりさだけはご飯抜きだったが。 「おぼうしさんからあまあまさんがでてくるはずなのおおお!!!」 お天気が良いので家族総出でピクニックに出発したまりさとありすの一家。 みんなで歌を歌いながら、競争したりしながらの楽しいゆっくりウォーク。 そんな一家の元にも帽子マジックをする青年は現れた。 青年はまず、子ゆっくりでも丸ごと頬張れる程度の小さな飴玉を差し出した。 「あまあまだよ。ゆっくりしていってね」 「ぴゅるるるー!ゆっくりしていってね!おにいさんはゆっくりできそうね!」 プクーと膨らんで子供達を体の後ろに隠し警戒感を露にしていた親ゆっくり達だったが、 飴玉を見せるとあっさり警戒を解き態度を軟化させた。 人間がゆっくりに何かをしてきた時は碌な事にならない事が多いのに…。 「……!……ゆっきゅりー!!」 「おいちー!!なにきょれー!!」 「しゃわしぇー!!!にゃんてときゃいはにゃあじにゃのー!!!」 あまりの美味しさに感動して喜びを抑えきれずころころと転がり始める子ゆっくり達。 親ゆっくり達はそんな子供達を嬉しそうな、愛おしそうな表情で見つめる。 しかし、しばらくすると青年の方に物欲しそうな視線を送り始める。 飴玉は子ゆっくり達の分しか渡されなかったからだ。 そこで青年は頃合い良しと帽子マジックを始めた。 帽子から飴玉が出たり消えたり不思議なイベントにゆっくり一家はしばらく目を丸くして 固まっていたが、やがて感嘆の声をあげ始める。 「どうなってるんだぜ!?」 「なんてふしぎなの!?」 「ゆわ!?ゆわわー!?」 「にんげんしゃんのおぼうちしゅごーい!!」 「ゆっゆっ!!もういっきゃいやっちぇねー!!」 青年は最後に普通サイズの飴玉を二つだけ残して帽子をかぶり、手でどうぞと促す。 親まりさはすぐに飛び付いて飴玉にむしゃぶりついた。 だが親ありすは子供達の物欲しそうな視線に気が付いて困り顔だ。 「ゆ!ままはいらないからちびちゃんたちがたべてもいいのよ!」 「ゆっきゅりー!!」 「ほんちょー!?」 「みゃみゃ、ありがちょー!」 待ってましたとばかりに涎を垂らして飴玉に飛びつく子ゆっくり達。 飴玉を中心にぷにぷにの柔らかほっぺが潰れてしまうのではと思うほどくっつけあって舐め始める。 「「「ぺーろぺーろ♪しゃわしぇー♪」」」 親ありすはもうそれだけで、お腹いっぱい胸いっぱいという表情だ。 そんなありすに青年は帽子の中から飴玉をもう一個プレゼント。 それからはもちろん家族一同でさらに大音量になったしあわせー!の大合唱。 そんな一家を見つめながら青年は何かに耐えるように体を震わせていた。 そして「ゆっくりしていってね」と言いながらその場を後にする。 「くっ…くくっ…いつまでも仲良くな…」 ゆっくり達が集い、日向ぼっこや追いかけっこなど思い思いにゆっくりしている森の広場でも。 「チチンプイプイ!あまあまさん出て来い」 ドサッドサッドサッ! 「「ぺーろぺーろ、しあわせー!!」」 「おちびちゃんのぶんもほしいよ!もっとちょうだいね!」 「ぱねぇ!にんげんさんのおぼうしめっちゃぱねぇ!」 「あまあまさんをだせるなんてとてもとかいはなおぼうしだわ!」 「むきゅー!ぱちゅにもどうやるのかおしえてね!」 「わからないよー!でもすごいんだよー!」 青年の手品は以前よりさらに流れるような動作や見せ方になっていた。 不思議な出来事と美味しい飴玉に沸き返るゆっくり達。 誰も彼もが目を輝かせ満面の笑みを浮かべている。 すべて本当のことだと信じきり、疑うことを知らないゆっくり達。 「ゆー!みんなどうしたんだぜー?」 「たのしそうだね!なかまにいれてね!」 「むきゅー!なにがあったの?」 「にんげんさんのおぼうしからあまあまさんがでてくるんだよ!」 楽しそうな歓声を聞いて遠くにいたゆっくり達も集まってくる。 青年の周りはいつのまにか押し合いへし合いしているゆっくりだかりの山になっていた。 「やあまりさ、楽しい事をするから帽子を貸してくれないか?」 青年はニヤリ笑うとまりさ達に声を掛けた。 だが渋るまりさばかりで帽子を貸してくれるものは中々現れない。 それもそのはず、ゆっくりの飾り、まりさでいうと帽子がそれであり、無くしたりすると ゆっくり出来なくなったり、仲間と認識されずいじめられたりするからだ。 しかし、しばらくすると一匹のまりさが説得や応援を受けて帽子を貸してくれる事になった。 「だいじにしてね!ぜったいだよ!」 「もちろんだよ。では、このまりさの素敵な帽子から飴玉を出してみるよ」 ざわ…ざわ… 騒音公害と言えるほど騒がしかった辺り一体が静まり返る。 そんなこと有り得るのだろうか?いやでも、もしかしたら。 皆が青年の手にあるまりさの帽子に釘付けになり固唾を呑んで見守っている。 「チチンプイプイ!……うーんまりさの帽子だと難しいなあ」 青年がいくらまりさの帽子を振ってもあまあまは出ない。 やはり駄目なのかという失望の雰囲気がゆっくり達を包み込み、あちらこちらからため息も聞こえてくる。 だがそれは割れんばかりの歓声に変わった。 「えいや!チチンプイプイ!」 トサッ! 「「「ゆゆー!!!!!?」」」 まりさの帽子から飴玉が二つ落ちて来たのを目の当たりにしたのだ。 さっき手品を見ていたものは歓声を上げ、見ていなかったものは驚きの声を上げた。 青年が帽子を貸してくれたまりさの口に飴玉を入れてやると、あっという間に幸せ顔になって舐め始めた。 もう一つの飴玉を目の前に置くと「まりさのおぼうしからでてきたんだからまりさのだよ!」と 得意そうな顔をして体の下にしまい込んだ。 みんながまりさの帽子を代わる代わる覗き込んだり、振ったりしてみるが何も出てこない。 「どうしてなのー!?」 「ふしぎだねー!?」 「ゆ!まりさのおぼうしからあまあまさんがでるなんてしらなかったんだぜ!」 「そういえばためしてみたことなかったよ!」 「ゆ!ゆ!ゆん!!どうしてでないんだぜ!?」 「まりさ!もっとがんばりなさいよ!」 「ちょっとかすんだみょん!じゅもんをとなえないとだめなんだみょん!ちんちんぽいぽい!」 「ちぇんのおぼうしじゃだめなのかなー?わからないよー!」 「れいむにもかしてね!れいむはやさしいからあまあまさんがでてもはんぶんだけでいいよ!」 「むきゅー!ぱちゅにもみせてー!」 「かえすんだぜ!おぼうしはまりさのものなんだぜ!」 「そうだよ!そんなにひっぱったりしたらやぶけちゃうよ!かえしてね!」 不思議な事を再現しようとゆっくり達はまりさ達を取り囲んでお祭り騒ぎ。 まりさ達は口では迷惑そうにしているが、みんなから注目されて自慢顔だ。 青年は盛り上がるゆっくり達を見渡し、ニヤリと笑みを浮かべながら何度か頷くと広場を後にした。 「くっくっ…くっ…無邪気な奴らだ…」 青年は森のいたる所に現れ、ゆっくり達に帽子マジックを披露していった。 その噂は急速に広がり、最近のゆっくり達の話題と言えばその事ばかり。 だが森は広い。青年に会ったことのないゆっくりの方が圧倒的多数だ。 ゆっくり達は青年に遭遇する幸運を祈った。 だが…はたしてそれは幸運な事なのだろうか。 あるまりさは帽子からあまあまが出ると家族に信じてもらえず、おうちを飛び出してしまった。 そして自分だけ入れそうなゆっくりプレイスを見つけると、大きな石ころを使って厳重に封を施す。 誰かに見られたらあまあまを盗られてしまうかもしれないと思ったからだ。 「ゆふふふ!まりさはあまあまをだすまでがんばるよ!あまあまがでてもれいむなんかにあげないよ!」 まりさは頑張った。薄暗い場所で何も食べずに頑張った。あまあまでお腹いっぱいになりたかったから。 少しだけ眠った時には山積みになったあまあまの中を泳ぐ夢を見た。 周りではありすやぱちゅりーがまりさを褒め称え、うっとりとした表情で熱い視線を投げかけてきた。 れいむは遠くで恨めしそうに見ているだけだった。 しかしあまあまを出せないまま腹減りの限界一歩手前を迎えた。 気合を入れて帽子を振ったりするのは意外と体力を使い、お腹が減ってしまうのだ。 さすがにご飯を食べなければまずいと、入り口を少し崩してみるが外は暗くて、さらに雨も降っていた。 外に出られないと落ち込んだが、すぐに元気を取り戻す。 あまあまさえ出せれば問題はないと思ったから。 まりさはへこたれずに再度頑張った。頑張りすぎた。入り口の石ころをどかす体力が無くなるまで。 「ゆ゛…ゆ゛…ゆ゛…ゆっくりしたけっかが…これだよ…」 数日後、まりさの念願だったあまあまが一つ出来上がった。 「そんなこといわないでたべてねえええ!!いもむしさんだいすきだったでしょおおお!!」 「まじゅいむししゃんにゃんちぇちゃべりゃれにゃいよ!」 「はやきゅあまあましゃんをもっちぇきちぇね!」 「あみゃあみゃしゃんもだしぇないやきゅたたじゅはゆっくちどっきゃいっちぇね!」 「「おお!やきゅたたじゅやきゅたたじゅ!」」 まりさが一生懸命頑張って集めてきたご飯に不満爆発な子ゆっくり達。 まりさとありすの一家は青年の手品を見て飴玉を貰ったことがあった。 さらにまりさがご飯集めに奔走している間、散歩していたありすとその子供達は森の広場で 他のまりさの帽子から飴玉が出るところも見ていたのだ。 飴玉を食べた体験は不思議な出来事とセットで最高にゆっくりした物と子ゆっくり達の脳裏に強烈に焼きついてしまった。 それよりランクが大幅に下がる森のご飯ではもう満足することは無いのだ。 どうして自分の親はあんなにゆっくり出来るご飯を持ってきてくれないのか。 どうして帽子からあまあまを出せないのか。 子ゆっくり達はこれから毎日、ゆっくりさせてくれない親まりさを見下し罵倒するだろう。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!!!まりさはあまあまなんてだせないよおおお!! ありすもなんとかいってあげてねえええ!!」 「ゆー…ありすもあまあまさんをだせるとかいはなまりさがよかったわ…」 「ぞんだごどいえっでいっでないでじょおおお!?ゆわあああーん!!ゆっぐりでぎだいいいいい!!!」 「むきゅーり、むきゅーり!ちいさいまりさだけのようね!」 「ゆゆ!きょきょはまりしゃたちのゆっきゅりぷれいしゅだじぇ!」 「しりゃにゃいぱちゅりーはでちぇいきゅんだじぇ!」 あるぱちゅりーは不思議な出来事の真偽を確めたくて他のゆっくりのおうちに忍び込んだ。 まりさがどうしても帽子を貸してくれなかったからだ。 親まりさが狩りに出発する時、見送りは子まりさだけだったのを物陰からこっそり見ていたのである。 「むっきゅきゅー!おはなしでちいさいものをえらんだほうがいいときいたことがあるわ!」 「やめちぇー!まりしゃのおぼうちもっちぇいきゃないじぇー!!!」 「まりしゃのおぼうちかえしゅのじぇー!!!」 意味不明なセリフを言いながら子まりさの帽子を盗んでいくぱちゅりー。 成体まりさには敵わないので子まりさを狙っただけである。 子まりさ達は大した抵抗も出来ず帽子を奪われた。 この後子まりさ達は帽子が無いために子供と認識されず、帰ってきた親まりさに追い出された。 「さいきんおぼうしがないまりさをよくみかけるんだぜ!ところでまりさのちびたちはどこなんだぜ!?」 青年はある時、ぷっつりとその姿を消した。 だが数日経っても森の全域に広がった噂は消える事がなかった。 物忘れが激しいゆっくりだが自分に都合のいい事、利益のある事はいつまでも覚えているのだ。 そして…。 「まりさはあまあまをひとりじめにしてるんだよ!にげないでゆっくりつかまってね!」 「どぼじでえええ!!!まりざのおぼうじがらあまあまざんなんでででごながっだよおおお!!!」 「うそつきのまりさはおぼうしをわたしてからゆっくりしんでね!」 「やべでええええええ!!!」 まりさの帽子からあまあまが出るところを見たゆっくり達は集団でまりさの帽子狩りを始めた。 まりさがあまあまを独り占めにして、自分だけゆっくりしているという噂が広がっていたのだ。 いくらまりさ達が否定しても聞く耳を持ってくれなかった。 他のゆっくりからすればまりさが否定すればするほど怪しく思えてくるのだ。 奪ったまりさの帽子からは当然あまあまが出る事は無かったが、出ない帽子もあるだろうと 勝手に連想して次から次へと奪っていく。 他の奴に先を越されまいと、競争でもしているかのように奪っていく。 集団は徐々に増えていった。 ゆっくりの通常種の中では力が強いと言われるまりさだが突然集団で襲われては成すすべも無い。 大切な帽子を奪われまいとすればするほど、ひどい反撃が返ってきた。 涙を流しながらの懇願も無視された。 追いかけて取り戻そうとすると動けなくなるまで底部を痛めつけられて放置された。 集まって対抗しようとするまりさ達もいたが、目の色を変えて奪いに来るゆっくり達に苦戦し追い込まれてしまう。 すると自分だけ助かろうと裏切り行為をする者が現れ、あっという間にその場しのぎのグループは崩壊してしまうのだ。 また、愛する家族に帽子を奪われるまりさもいた。 まりさにはもう信用できる者なんていなかった。 「まりさのぼうしをにんげんさんにわたすとあまあまをくれるんだよ!」 又聞きを繰り返して変容した噂を真実と決め込み、人里に行き人間に纏わり付いて困惑させるゆっくりも出始めた。 挙句の果てに「どおしてあまあまくれないのおおお!!ゆっくりしね!!」と体当たりを繰り返し始める。 「あまあまさんをだせるのはにんげんさんのおぼうしなんだよ!」 帽子をかぶっている人間に体当たりをして帽子を奪おうとする奴も現れる始末。 ゆっくりがいくら束になろうと人間に敵うはずも無い。結果は言わずもがな。 「まりさをおいかけるおまつりなんてすごくとかいてきね! ありすもさんかしたいわ!んほおおおおおおお!!!」 騒ぎに便乗して欲を満たそうとする奴もいたが、別にいつもと変わらなかった。 「どおじでばりざがごんだべにあうんだぜ…」 「まりしゃの…まりしゃのおぼうち…」 「ゆ…ゆぐっ…ゆっぐり…」 「おぼうじがないどゆっぐりでぎないんだぜ…」 「これからどうしたらいいのおおおおお!!!」 この森の辺り一帯は帽子の無いまりさとその嘆きの声で溢れかえっていた。 帽子の無いまりさ達は自分の帽子を探しに行くも、そう都合よく見つかるわけが無い。 仕方なくあまあまが出ない役立たず、と踏みつけられボロボロにされた、サイズの合う他のまりさの帽子をかぶる事にした。 自分の物ではないという違和感のために常にゆっくり出来ないのだが、無いよりはマシなのだ。 「あまあまがでないできそこないのおぼうしさんだね!こんなのおみずさんにながしちゃうよ!」 「うー…またはずれなんだどぉー!こんなのびーりびーりしちゃうんだどぉー♪ れみ☆りゃ☆うー♪にぱー♪」 こんな奴らもいるので、他のまりさの帽子にもあぶれた方が多い。 帽子無し同士は攻撃し合ったりしないが他のゆっくりには攻撃されてしまう。 帽子無しまりさ達はこそこそと集まり、互いの不幸を慰め合った。 ゆっくりしたいと滂沱の涙を流し、帽子があるまりさ達を羨んだ。 このまま日陰を歩んでひっそりと惨めに暮らしていけばいいのだろうか? 否だ。帽子が無いのは永遠にゆっくり出来ない、死んだも同然のことなのだから。 そして…。 「おぼうしをよこせえええええ!!!」 どんよりと眼を曇らせた帽子無しまりさ達が徒党を組み、帽子有りまりさを襲い始めた。 目に付いた帽子有りまりさを見つけると、まるで生者の肉を求めるゾンビのように群がった。 帽子有りまりさも奪われまいと必死で迎え撃つために、もはや戦争状態。 闇討ち、抜け駆け、見殺し。そんな事を繰り返しついに帽子を勝ち取ることが出来たまりさ。 だがその瞬間から襲われる側に回るのだ。 さらに帽子からあまあまが出ると信じている奴らはまだいる。 奪い奪われの空しい無限ループ。 もはやまりさ達にゆっくりプレイスなんて存在しなかった。 「ふふ…くっくっくっ…」 ゆっくり達にとって元凶となった青年は、自室でくつろぎながら満足そうな表情で気分良く笑っていた。 ゆっくり達に手品を見せた時の様子を思い出して、今頃どうしているだろうと想像して。 「ゆっくりはいいよなー」 思わず独り言も飛び出してしまう程に。 あまりにもゆっくり達の反応が楽しく、久々の長い休日を丸ごと帽子マジックに費やしてしまった。 お徳用の飴玉袋を一体どのくらい消費したのだろう。 近所の子供に披露した事があったが反応はいまひとつだった。 飴玉をあげようとしても「知らない人から貰っちゃ駄目なんだ」と言われたりする始末。 怪しい人とでも思われているんだろうか? 確かに友人から怪しいと言われたことはあるが…。 それに比べてゆっくりは簡単な手品なのに素直に驚いてくれる。 中でも子ゆっくりの反応は小躍りしてしまいそうになるくらい可愛い。 手品初心者なので何度かとちったりしたのだが、ゆっくり達は気づかないのも良かった。 ゆっくりまりさに他愛の無いイタズラをしたが、ゆっくりは物覚えが良くないらしいので、 しばらく経った今はそんなこと忘れて平穏な毎日を過ごしていることだろう。 観客がゆっくりとはいえ見られて練習が出来たので、手品の腕も上達したような気がする。 もっと楽しい手品を覚えてゆっくりにも、子供達にも喜んでもらおう! 青年はみんなが喜んでくれる顔を想像して、また「くっくっ…」と忍び笑いを漏らし始めた。 「ゆ!へんなゆっくりがいるよ!」 「いなかもののにおいがぷんぷんするわ!」 「むきゅー!みるからにあたまがわるそうね!」 「…………」 草を食べていた帽子無しまりさを見つけ、わざわざ遠くから寄ってきて難癖をつける三匹のゆっくり達。 しかしまりさは何の反応も見せずに草を食む動作を続けるだけ。 「むしするなんてなまいきだね!ゆっくりできなくさせるよ!」 ゆっくりできない飾りの無い奴を攻撃するのは当然の事。咎める者はいない。 れいむが体当たりすると、同じような体格なのにまりさは拍子抜けするほど簡単に吹き飛び、 ごろごろと転がった。 三匹は泣き叫んで命乞いをしてくるだろうと笑いながら注視する。 だがまりさは何事も無かったように起き上がり、ニタリと歪めた笑みを浮かべていた。 「みんなもまりさをいじめるんだね……」 「こいつわらってるよ!きもちわるいね!」 「いなかものはゆっくりしないできえなさいよ!」 「むきゅー!あたまのねじがはずれてるのよ!」 今度は永遠にゆっくりさせてやろうと、まりさを包囲する三匹。 ニタリ、ニタリ、ニタリ、ニタリ、ニタリ。 体当たりされたまりさと同じ種類の笑みを浮かべた大勢の帽子無しまりさ達が、後ろから静かに 近づいている事に三匹のゆっくりはまだ気が付いていなかった。 森の随所で帽子無しまりさ達の復讐の幕が上がっていた。 殺しはしない、飾りを奪うだけ。 どんなに悲しいのか、どれだけ惨めなのか分からせてやりたいから。 反撃や追跡してこようものなら動けなくなるまで痛めつける。 泣きながらの懇願にも「おあいこだね!」と笑顔で答えて奪い去る。 他のゆっくり達が集団になって守ろうとしても、どす黒い感情で強く結ばれたまりさ達に追い込まれ、 その場しのぎのグループは裏切り等で崩壊した。 子ゆっくりは許されたが、親が戻ってこなかったり、知らないゆっくりが「おかあさんだよ!」と おうちに入ってきたりするのでゆっくり出来なくなった。 この森の辺り一体は飾りの無いゆっくり達と嘆きの声で溢れかえっていった。 ゆっくり達が平和に暮らしていた面影はもうなかった。 あとがき 読んでくれてありがとうございます。 最初は帽子無しまりさが泣いているところで終わりだったのですが、付け足したら何だか暗い話に。 青年が森のあちこちに現れてたのは、マウンテンバイクで走り回っていたという事で。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3009.html
ゆっくり人面瘡1/2 諸注意 ※初投稿 ※幻想郷在住のおにいさんが主人公です。 ※原作キャラが登場しています。 ※モブにオリキャラが登場します。 ※おにいさんと原作キャラが微妙に絡みます。 ※虐待成分を含んでいますが、話の長さに比べて少ないです。 ※パロディネタを多大に含んでいます。 ※この話は他の作者さん達の作品の影響も多大に受けています。 ※1と2に分かれています。 ■■■序章■■■ 幻想郷のとある山間に、狩猟採集を生業としたおにいさんがいました。 危険な妖怪も出没する山間での危険な仕事ですが、能力を持たない人間達に山の恵みを提供するための大切な仕事です。 山菜やきのこなどの食材や鹿や猪などの獣、時に檜皮などの木材も調達するおにいさんは、山のなんでも屋であり、 その仕事に誇りを持って仕事をしていました。 季節は年の瀬。 既に山の中腹まで雪が積もっており、年が明ける頃には里にも雪が積もりそうです。 その日は木々が茂った森の中で、おにいさんは珍しいキノコを探していました。 仕事柄、時に依頼があれば特定の材料を仕入れに行くことがあります。 この冬の寒い霜のある土の中に生える特殊なキノコだとのこと。 依頼主からそのキノコの詳しい生態を聞いていたので、アタリをつけて目指します。 自他共に認める山のなんでも屋ですから、地質状態の把握もなんのそのです。 目指すキノコは三番目のアタリをつけた場所に生えていました。 あとは採集すればこの日の仕事は終わりなのですが、ここに先客がいました。 「ゆゆっ!ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよっ。ゆっくりできないにんげんはかえれだぜ!」 そうです。ゆっくりです。 サッカーボール大の成体ゆっくりまりさの群です。 この不思議な生物は冬眠すると考えられていますが、冬でも暖かい時間帯には起きだします。 ちょうど草木の間に暖かい日差しが差し込んでおり、ひなたぼっこをしていたのでしょう。 5匹の小さな群れが、目的のキノコの前に陣取っていました。 確かに枯れ草がまるで布団のように暖かい空気を蓄え、ゆっくりした場所です。 目的のキノコを目の前で捕食されてはかないません。迅速かつ丁寧に採集する必要があります。 もちろん野生のゆっくりの捕獲を依頼されれば捕獲しますが、現在その様な依頼をおにいさんは受けていません。 力の差を教えてやりたいのもやまやまですが、相手の近くに依頼物がある以上下手につぶせません。 「やぁ、ゆっくりたち。ゆっくりしていってね!」 まず愛想良く挨拶します。 「っ! ゆっくりしていってね!!」 この生物の条件反射を利用し間を取り、懐から携帯していたチョコレートをとり出します。 「おかしをあげるよ。あまいぞー。ゆっくり食べてね!」 「「ほほおおおおっおっ」」 銀紙を剥がして数かけら足下に置くと、咆哮な甘い匂いにつられて我先にと飛びついてきました。 「「むーしゃむーしゃ♪しあわせー♪」」 と感涙しているゆっくりたちを尻目におにいさんは目的のキノコを採集します。 木の幹の根元に舞茸の如く大きな房をつくっていました。 うれしいことにまだ捕食されていない様です。 依頼者からは、完全な状態で採取してほしいいんだぜ。とも念を押されていたので、 そのまま引っこ抜かずに木の皮ごと削り出す事にしました。ナタを使って削りだしていきます。 しかしなかなかきつい体勢です。 一旦立ち上がって、たすきをかけ。ひと呼吸付きます。 そのとき 「おにいさん!もっとゆっくりおかしをちょうだいね。 ゆゆっ! まりさたちの“たからもの”になにしてるんだぜっ!!」 「“たからもの”だと?このキノコがおまえらのたからもの?」 だから補食されていないのか。 「たからものにさわらないでねっ!」 「まりさのたからものになにするのぉ!?」 「すまんがこの“たからもの”とやらは俺が頂いていく。チョコをあげたんだ。ゆっくり理解してね」 「ゆっくりわからないよおぉぉぉ!」 一部のゆっくりはガラクタなどの一部のモノに対して“たからもの宣言”をし、異常な執着を示します。 このまりさの群は、集団でこのキノコを“たからもの”にしていたようです。 まさしくその“たからもの”を奪おうとしているおにいさんに歯を剥き出しにして体当たりを仕掛けてきます。 「ゆっくりできないにんげんはしんでねぇえっじぃぶっっ!」 しかし野生といえどゆっくりが人間にかなうはずありません。 おにいさんは片足で蹴り飛ばします。 もちろん今は依頼品がおにいさんの背中です。餡子や土で汚さないように慎重に。 商売道具のナタでつまらんモノを切りたくなかったのでここでは使いません。 「たからものにさわるなぁああっえぐぜっっぶっ!」 二匹を軽く潰しても、残り3匹が一斉に飛びかかってきました。 「「たからものぉぉおおうああああっっ!!!」」 三匹連続攻撃への対処も抜かりありません。 「ゆぼぉおっ?」 一匹目を踏みつけます。踏み台にはせずゆっくりと押しつぶします。 「あびゅばっ!」「うごぇすっ?」 二匹目は右手の手刀で地面に叩き付けつぶし、三匹目は左手でその口の中に正拳をぶち込んでやります。 そいつはラスト一匹です。派手にキメたいですね。 ゆっくりの体内で手の平を開き、勢いにまかせ背中の皮をぶち抜きます。 「ヒイィイイトゥォエンドォッ!」 虐待を好むおにいさんではありませんが、やる時はやる、キメる時はキメる性格の様です。 その時、 砂糖菓子でできているまりさの歯が、おにいさんの腕に傷をつけました。 シャイニンgではなくて、パンチの威力が加わったおかげで一矢報いたのでした。 しかし傷はたいしたことはありません。かすり傷です。 おにいさんはその時点で、とくに気に留めませんでした。 この傷が物語の始まりなのですが、ともあれ、 大した損傷もなく無事に目的の依頼品を手に入れるとおにいさんは帰路につきました。 ■■■発症■■■ 翌日 おにいさんは左腕に違和感を感じて目覚めました。 しつこいかゆみがするのです。 袖をめくると昨日ゆっくりを退治した時に付いた傷のあたりがかぶれています。 「漆にあたった覚えはないし。どうしたものか?」 はてな?と思いながらも、馬油を塗って包帯を巻き、その日も毎日と同じように、山に仕事に向い、 一日が過ぎ、その日の終わりにはその傷のこともすっかり忘れていました。 さらに翌日 うーうーうーと、うなるような音でおにいさんは目が覚めます。 左腕に何かが動く感覚があります。 しかも自分の腕からその音が聞こえてくるではありませんか! 布団から跳ね起きて袖をまくります。 包帯のしたでうねうねと何かがうごいています。 そのうごきに合わせて「うあーー」「ゆーー」とくぐもった声を出しているのです。 おにいさんは恐る恐る包帯を外します。 腕になにかがついています。 「ぷはー♪」 呼吸しています。 「ゆー♪」 しゃべりました。 わけのわからないもの。 おにいさんはおどろきのあまり声が出ませんでした。 なにをしていいのかわかりませんでした。 そこには前日まではただのかぶれだったものが、あの憎たらしいゆっくりの顔になっていたのです。 大きさは、小ぶりのあんまんを潰した位でしょうか。 目玉があり、口もあり、金髪の髪、とんがり帽子の様なものまでくっついています。顔だけですがどうみてもまりさ種です。ほんとうにあry 初めてルナティックをプレイした初心者の様に惚けていると、そのゆっくりの目が動きおにいさんと目が合います。 「ゆっくちしちぇってね♪」 「っっっっっっっっっっっっっ!!?」 緊張の糸が切れ、訳がわからなくブンブンと腕を降りながらただ声にならない叫びをあげました。 普段危険な生物、熊や猪、人をおそう妖怪に突然出くわしても、驚きはしても冷静な行動がとれるおにいさんです。 山を生業にする者のサガとでも言いましょうか。 そのサガが億病にも声を出す事はありませんでした。 しかし、山で熊に出くわしても、それは熊に出会うかもしれないという覚悟を常に持っているから。 この時ばかりはおにいさんに、覚悟が足りませんでした。 「ゆーぅぅぅ。めがまわりゅよぉぉ?」 なんなんだ?いったいなんなんだ!? 自暴自棄になりそうで、そのわけのわからないものが視線のなかに入らぬ様、布団に腕をつっこみます。 「うー?うあいお?ゆーゆーううう」 声がこもり、その異様な光景から目をそらす事によってすこし落ち着いてきたようです。 あのとき付いた傷が原因か?し、しかしゆっくりが、人体に寄生するなんて!?わけがわからないっ!! とにかくこの不思議生物がなぜ寄生しているのかは別として、とにかく取り除かなければならない!剥がさなくてはっ!! 体に蜂や蛭が取り付いてきた時のように、とにかくそれを払う事を考えます。 おにいさんは素数を数えて、自身の心臓の鼓動が落ち着くのを待ちました。 心を獲物を仕留める狩人にするのです。 息をゆっくり吸い。 ゆっくりと吐く。 そう、ゆっくりだ。こいつらがやっているようにゆっくりでいい。 521… 523… 537は…ちがう…541…! そのあいだも「うー?にゃんにゃのー?」という声は聞こえてきます。 しかし、百番目の素数まで数え終えたおにいさんに死角はありません。 布団から腕を出し、改めてこの奇妙なゆっくりと向き合います。 「ゆっくっちしちぇってね♪」 「おまえはゆっくりまりさか?」 そう言いながら自分の腕を改めて観察します。 昨日かぶれていた手首から肘にかけて、皮膚がカピカピにひび割れている。 しかし、その中心部、前腕筋の膨らみの部分にあんまん大のゆっくりの顔がへばりついている! ゆっくりの顔の周りだけは潤いがあり、通常のゆっくりたちに近い。 「ゆー♪ おにいさんはゆっくちできるひちょ? おにゃかがへったよ。ゆっくちえさをちょーらいね♪」 「質問に質問でかえすなぁ!」 温厚なお兄さんでもこの精神状態では流石に苛つきます。 鼻の辺りをつねってやりました。 端から見ると自分の腕をつねっているように見えます。 「ゆびぃいいっ!いだいいだい!ゆっぢりはなしてねええ!」 つまんだ部分がビロンと伸びます。 剥がそうにも、かさぶたのようにペリペリ剥がれるとはいかないようです。 しかし、それと同時に自分の感覚に気づきます。 「自分の腕が痛い……だと……!?」 どうやら作り物ではなく本当におにいさんの体の一部となっている様です。 試しに囲炉裏から、火箸を取り上げ軽くあててみました。 「うぎゃあああああああ、あづびいいいい。やべでえええええっ!」 まりさのおでこにあてられた部分が赤く腫れます。おにいさんの腕がヒリヒリします。 今度は外に出て行きました。 外に貯めてある水瓶に腕を突っ込み、たわしでごしごし磨いています。 「やべ、で、うぼぁ、うだ、うぁああば、ば、ばば、ばば」 まりさの声がやかましく響いた後、おにいさんのため息が聞こえてきました。 どうやらダメだったようです。 「はぁー いったいどうなっちまったんだ?これは医者にみせるしかないか…ああ、朝から騒いで喉がかわく」 仕事熱心なおにいさんですが、この日は臨時休業し、朝食後永遠亭のあの女医のところへ向かうことにしました。 ■■幕間01■■ 普段、朝起きたら顔を洗って目を覚まし、軽い運動をしてから朝食をとる、というのがおにいさんの日課です。 しかしこの日は、驚きによって顔を洗う前に目が覚め、すでに一汗流していました。 朝食は腹に適当に流し込むのですが、一人暮らしなのにこの日は賑やかです。 「ゆっくり朝ご飯を食べるね!」 おにいさんの独り言は虚しく響くだけでした。 「ゆー、まりちゃにもえさをちょーらいねぇぇ!」 「・・・・・・」 「むーしゃむーしゃしたいぃぃぃ!」 「・・・・・・」 おにいさんはとにかく医者に見せるまではシカトすることに決めた様です。 質素なおかずの食事ですが、その日一日の力をつけるためおにいさんはおむすび3個を平らげます。 「ふぅー食った食った」 「しあわちぇー♪」 「っ!」 見るとゆっくりはいかにも満腹満腹といった表情でにやついています。 しかしすぐに 「すーや♪すーや♪」 と気持ち良さそうに寝息を立てていました。 ムカつきます。 おにいさんは、このゆっくりにエサを与えていません。 しかしこのゆっくりの表情からおにいさんが食べた栄養もこのゆっくりに行き届いてしまう様です。 立ちくらみまでしてきました。 せっかく食べた食後の満足感も抜け落ちてしまいましたが、着替えを整え外出していきます。 永遠亭へ行く途中、いつもその日の収穫を卸している問屋にしばらく休むという事を伝えにいきました。 おにいさんの戦利品を金に替えてくれるお得意様です、おろそかにはできません。 もちろん腕のゆっくりを見せ物にする様な自虐趣味はないので、包帯で隠しています。 「・・・という訳で、ちょっと左腕を怪我しちゃいましてね、今日の卸しは休みになります」 「クリスマスも近くて樅の木やら雑貨の仕入れを頼みたかったんだが、 妖怪に襲われたならしかたないね。まぁ春までにゆっくり直せばいいさ」 「ゆっくり♪」 「ゆっくり?」 しかしゆっくりの声はもれるようです。 「ゆっくりと我が身につく悪魔めぇ、静まれ!ここで目覚めるなっ!潰されたいのかっ!!」 「中二病も併発してるようだねぇ。ガムやるよ。養生しなさい。」 いらん赤っ恥をかきつつ、改めて永遠亭に向かいます。 ■■■永遠亭■■■ 太陽が空の三分の二ほどに登った頃、 おにいさんは月の頭脳こと八意永琳女医の診察を受けているようです。 既にレントゲンや血液検査等一通りの検査をうけ、今は診察結果を待ちつつ永琳が診断しています。 「うん、実に興味深いわね」 「手術でもなんでもいいんでとってくれませんか」 「まぁ、検査結果がでるまでちょっと観察でもしてみましょう」 今このゆっくりは包帯から解放されて診察室がもの珍しいのか「ゆ?ゆ?」ときょろきょろ見回しています。 永琳がはなしかけると 「ゆっくりしていってね♪」 と通常種のゆっくりと同等の反応をする。 「エサは与えたかしら?」 「いえ、俺が食ったらそれで満足するみたいです」 「寄生している訳ね」 診察台の引き出しからビスケットを取り出すと、ゆっくりにみせびらかします。 「ゆゆ♪おねえさん。そのおかしをちょーだいね♪」 ビスケットのひとかけらを口に放り込みます。 「むーしゃむーしゃ♪しあわせー♪」 「食べてるわねぇ。消化はどうしてるのかしら?」 「あげた後に聞かないで下さい。今のとこ、うんうんやらしーしーやらはしてませんが。」 「エネルギー変換や生殖方法等興味はつきないわねぇ」 「師匠〜検査結果でました〜」 「はい、ありがと。」 「ふむふむ〜あらっ?」 「やばいんですか?」 「血糖値が異常に高いわよ。あなた糖尿病?」 「一応健康な青年という設定なんですが。」 「問診では起きてからおにぎり三個となっているけど、本当に何も食べてない?バケツ一杯の砂糖水とか」 「飲んでませんよ。グラップラーじゃないんですから」 「だとしたら、異常ね。原因は…?」 ちらっと目線を問題の物へむけます。 永琳の助手でもある鈴仙が投影版にレントゲンを貼付け終えたのを見て 「やっぱり完全に結合してるわねぇ。分かりにくいけどここを見て。全体が腕なのは分かるわね。」 永琳はレントゲンに移った腕の骨と皮膚との境界辺りをペンで指し示します。 「肘から手首に欠けて、薄く道が出来ているでしょう?これは血管なのね。 通常なら真っすぐ伸びているんだけど、このまんじゅうの部分で一度途切れてまた戻っている。 そうやってこのゆっくりはあなたから栄養供給をうけて、おそらく餡子に変換している。この白い部分が餡子ね。 そして排出されるうんうんとよばれている餡子は外部に排出せずに糖分に分解されてまた戻っている。 血糖値の異常の原因はこれね。映ってないけど、感覚の共有からして他の神経系などもつながってると思うわ。 まさしく寄生しているのね。半永久的なエネルギーの供給と変換ができる。 まんじゅうにしてみればこれほどゆっくりした所もないでしょう。」 「ここはまりさのゆっくりプレイスだよ♪ゆっくりしていってね♪」 ゆっくりという言葉に反応したのか、おうち宣言まで発しました。 「っ!!そこはっ!!おれの身体だっ!!」 おにいさんは永琳の小難しい話に目がグルグルしていましたが、おうち宣言に苛つきます。 「先生早くどうにかしてください!とってくれたら差し上げますんで研究材料にでもしてください!!」 「薬で除去する方法もありそうだけど、あなたの精神衛生上、すぐ切除した方がよさそうね。鈴仙、簡易手術の準備をして」 「はーいー」 「部分麻酔で、ここからここまで除去するわ。10分ほどで終わるでしょ。 術後直ぐは痛みが残るでしょうけど、あなたの年齢ならすぐに仕事に戻れるわ」 「よ、よろしくお願いします。」 おにいさんは永琳の説明もそこそこに、この寄生したゆっくりに対しての苛つき、ムカつきがあふれていました。 手術室ではおにいさんは、体勢を維持するため腕を横にのばしたリクライニング椅子状態で待機していました。 既に腕全体は麻酔が効いてあまり感覚がありません。 しかし 「ゆ♪ゆ♪」 と声が聞こえる事からゆっくりは意識を保っている様です。 「うるさいだまっていろ!」 「ゆ?」 「くそっ!!」 普段は些細な事では怒らず、ゆっくりにしてもただ人語を解する害虫くらいとしか思っていませんでした。 しかしこのゆっくりが腕に寄生している事で、おにいさんの苛つきが増している様です。 「さて麻酔は効いてきたかしら?はじめるわよー」 マスクをし手術着に着替えた永琳が入ってきます。鈴仙も一緒です。 「一応研究材料に欲しいから、傷つけず丸ごと切除するわね。よろしいかしら?」 「かまいません」 手術台を適当な位置に固定し、肩の部分に幕が貼られました。 「では術式開始」 痛みはありませんが、メスが動いているのが分かります。そして時折、 「ゆー?」 という忌々しい言葉が聞こえてきます。 始めはただ手術用具等に興味を示してましたが、自分が剥がされることをやっと理解したのか 「うがあぁぁぁ、ばぢざのおうぢになにじでるのおぉぉぉ。」 「鈴仙、脱脂綿」 「はい」 「おうぢぃうごおぉぉぉ」 永琳は冷静にそのうるさいまんじゅうの口を塞ぎます。 「だべぉ!」「ううぅっ!」「あん?ぇぇぇ!」とうめき声だけが聞こえていましたが、 10分もしないうちに 「はい、切除完了」 「うばぁっ!」 びちゃっという音とともに声がしました。 どうやらゆっくりは皿に移されたようです。 「ふぅー」 と手術も終盤にさしかかったところで誰とも無く脱力溢れる声が聞こえてきます。 「鈴仙、そいつはまだ生きてる?」 「かろうじて」 「ならオレンジジュースにひたしておいて」 「はーいー」 「あとは縫合して終り。」 「はい」 「はい術式終了」 あっという間に切除手術は終わり、幕が取り除かれます。 おにいさんの腕には既に血の跡も無く、一本の傷跡に縫合糸が見えるだけです。 「今はまだ麻酔で動かないでしょうけど、しばらくしたら動くようになるわ。重いものは持たないでね。」 サッサッと包帯を巻いていきます。 「血糖値の異常は元凶を取り除いたから、健康に生活してたらすぐに正常値に戻るでしょ。痛み止めだけだしておくわ。 酷い時に水で飲みなさい。おだいじに♪」 「ありがとうございました!」 かくして寄生ゆっくりを取り除いたおにいさんは、はればれとした気持ちで帰宅したのでした。 ■■幕間02■■ 永遠亭からの帰宅途中、太陽が少しだけ西に傾いた時間帯。 いつもならまだ山に籠っているでしょうか、 おにいさんは正月に新しいパンツを履いた様に気分爽快な心持ちでした。 「災いの元凶もとれたしっ!時間も空いたしっ!久しぶりに外食しようかなぁ。 みすちーのところで蒲焼きの特上をっ!こりゃたまらんっ!ヨダレずびっ!」 と、そこに数匹のゆっくりが現れました。どうやら森からエサを求めてはぐれてきた家族のようです。 先ほどまでニコニコしていたおにいさんの顔色が一瞬だけ変化します。 「おい、ゆっくり。ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね♪」」 「ゆゆ!にんげん!」 「まぁそう気を張るなよ。別に殴る気はない。」 いつもなら、特に害悪を与えるゆっくり意外はスルーなおにいさんですが、 このときばかりは自分の腕に寄生された経験が、胸をムカつかせます。苛つきます。怒りがこみ上げます。 「冬眠中で腹減ってるだろ?エサをやるよ。はい、あーーん」 永遠亭に向かう途中に問屋の親父からもらったガムを見せつけます。 「ゆゆ♪やさしいおにいさんだよ♪ゆーーん♪」 「「ゆーーん♪」」 ひと家族が揃いも揃って、おにいさんの足下で口を開けています。 目をキラキラさせながら期待させていますが、 思い切り足を振り落としました。 「「ゆげぇえっ!?」」 一踏みで赤ゆっくり全てと、親であろうまりさの頬を踏みつぶします。 残された親れいむと頬をつぶされた親まりさは 「???」と疑問符を出した後、一旦遅れて 「ゆぎゃああ!! れいぶのあがぢゃんがあああぁぁぁぁ!!!!」 「ばりざのぼっぺがぁあああ!!! なんでっ!なんでぇぇぇ!?」 と遅れた知能で知覚しましが、 踏み出した足を軸足にサッカーボールの如くまりさを蹴り飛ばします。 「うぼぉわああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・ぐうぇっ!!!」 餡子をまき散らしながら奇麗な放物線を描き、ぐちゃっと乾いた大地に落ちました。音からしてうまくつぶれた様です。 「ばりざああぁぁぁぁぁ!!!!あびゎああああああ!!!どぼじでぇえ!?あがじゃぁああぁぁぁ、ばじざあぁぁうあぅぅぅっ!!!」 自分の赤ん房か、それとも自分の伴侶か。 れいむは行くべき所を迷いながら、びょんびょんと飛び跳ねています。 「おい。見てみろよ。」 おにいさんは踏みつぶした足を持ち上げ、見せつけます。 既にぐちゃぐちゃにつぶれ、言葉も発しない赤ゆっくりは、べっちゃぁ、と擬音だけ発しました。 「ゆばぁ、あ、あ、ああ・・・」 おやれいむは、この突然の悲劇にただ立ち尽くし(?)おもらししてました。 「あば、ば、ばば、ば、ば、ば、ばぴぷぺぽぉぁあ!」 「気が狂ったか。この前の出会ったゆっくりは、勇敢にも立ち向かってきたんだが」 「あぼぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ぼば、、、」 「今イチ、おもしろみにかける。プロである鬼意山たちの大変さがわかるな」 「ぽぽばばば・・・あがじゃん・・・ばじざ・・・」 本能がそうさせたのでしょうか、すでに狂った餡子脳でも愛する子供と伴侶を求める声を発します。 「っ!だまれっ!」 ばんっ!ともう一度四股を踏み、のこったれいむを潰します。餡子がキレイに広がりました。 「ふっ。いけないいけない。熱くなるな。冷静なのがいつもの俺だ。」 実にさわやかに中二病を併発しつつ、おにいさんは帰路に付きます。 「さて飯食いにいくかぁ。ピザとかいいな、マルガリータで。ボルチーニ茸をのせてもらおう。」 to be continued・・・2へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/376.html
冬の足音が聞こえてきた秋の昼時、枯れ木の根元に出来た穴から小さな影が4つ現れました。 「きょうはなにちてあしょぼーか!」 「おいかけっこ!」 「ゆ~それじゃゆっくちできないよ!」 「じゃあかくれんぼ!」 仲良く遊び始めたのはゆっくりれいむと呼ばれる最近になってあらわれたナマモノです。 ゆっくりれいむは紅いリボンと黒髪がトレードマークのもっとも多くいるゆっくりでした。 遊んでいるれいむたちは人間で言う子供で大きさは野球ボールぐらいでした。 まだ生まれて1年も経ってない4匹は仲良くかくれんぼを始めます。 最初ということで一番大きいおねーちゃんれいむがオニになりました。 残りの3匹は思い思いに隠れ場所を探しに行きます。 「も~い~かい!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ~・・・いーち!にー!さーん!だー!らーぶ!・・・」 「ゆゆっ、ここはれいむがかくれちぇるよ!べつのところにいってね!」 「ゆ!わかっちゃよ!」 「れいみゅはこっちにいくよ!」 「じゃあれーむはむこうにいくね!」 一匹のれいむは石の影にかくれました。 もう一匹は枯葉の下に。 「もーいーかい!」 「ゆっくりできたよ!」 「じゃあいくよー!」 石に隠れたれいむも枯葉にかくれたれいむはすぐに見つかってしまいます。 「次はれいみゅのばんだよ!」 「ゆゆ・・・まだれぃむがのこっちぇるよ!」 「みゅ~さっさとみちゅけるよ!」 しかし、残り一匹はなかなか見つかりません。 それもそのはず、最後の一匹はかくれる場所を探して今も移動していたのです。 「ゆ~、なかなかみちゅからない・・・」 この子れいむは遊びということも忘れてゆっくり出来そうな場所を探していました。 やがて、今まで来たこともない遠い場所に来てしまいます。 「ゆー・・・ゆっ!ここどきょ!」 れいむは知らない場所でいることに不安を感じます。 「おねーちゃああああ!れぃむはここだよおおおおおお!」 しかし、叫んでも叫んでも返事は返ってきません。 姉れいむとは子れいむが思っていたよりも離れていました。 子れいむはもときた道を思い出して戻ろうとします。 しかし、隠れ場所を探しながら来たのでどこを通ったか覚えていませんでした。 もう少し大きくなっていれば巣に戻るための方法を親れいむから教えてもらっていたはずでした。 もう少ししたら、きっとお姉ちゃん達が来てくれる。 そう信じて子れいむは木の近くで姉達をじっと待つことにしました。 子れいむが木に寄り添うようにゆっくりし始めると、美味しそうな匂いがどこからか漂ってきます。 「ゆゆ!おいしそうなにおひ!」 子れいむは匂いに引き寄せられます。 匂いの元はある木の根元に生えているたくさんのキノコでした。 「ゆ~!おいしそうなきにょこ!」 子れいむはキノコに飛び込んでいきました。 姉れいむたちは探しても探しても見つからないれぃむを心配になり、巣にいた母れいむを呼びに戻りました。 子の訴えを聞いた母れいむはすぐに巣の周りを探し始めました。 姉れいむ達は危ないからと巣でお留守番です。 母れいむは危険そうな場所を一つずつ調べていきます。 しかし、れぃむはどこにもいません。 母れいむはあきらめずに探し回りました。 やがて、普段は来ない森の奥に足を踏み入れます。 「れいむのかわいいれぃむー!どこにいるのー!」 母れいむは懸命に叫びました。 「ゆっ?」 子れいむがお腹を膨らませてゆっくりしていたころ、どこからか母親の声が聞こえました。 「おかーしゃああああああああん!」 先ほどまでキノコを食べることに夢中で自分が迷っていることを忘れていたれぃむは母親の声で自分のおかれている状況を思い出しました。 そして、母親に見つけてもらおうと声を張り上げます。 先ほど食べたキノコのおかげで大分大きな声が出せました。 大きな声は森に響き、とうとう母親の耳に入ります。 「ゆゆ!れぃむのこえだよ!」 「おかああさああああぁぁぁぁあぁん・・・」 「いまいくよ!そこでゆっくりしててね!」 母れいむは子れいむの声に耳を澄まして位置を探ります。 森の中では声が反射し場所がわかりにくかったですが、子への愛なのか母れいむは迷わずに足を進めていきました。 やがて、一つの木の下で泣き叫んでいる子れいむを見つけました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていっちぇね!・・・おかーしゃん!」 「だいじょうぶだった?けがしてない?」 「れぃむはごたいまんぞくだよ!」 母れいむは子れいむの声を聞き、自分の目で確かめて子の無事を確認します。 「だいじょうぶそうだね!」 「おかーしゃんごわがっだよおおおおおおおお!」 「もうひとりでこんなとおくまできちゃだめだよ!」 「ゆぅうううう、おかーしゃんごめんなさい・・・」 「わかればいいよ!もうくらくなるからはやくかえろうね!」 「ゆっ!そうだ!おかーしゃん!れいむきのこみちゅけたよ!」 「ゆゆっ!きのこ!?」 「しょーだよ!このうらにいっぱいはえちぇるよ!」 子れいむはそういって木の裏へと跳ねていきます。母れいむは道に迷わないように確認してから子れいむの後を追いました。 「このさきにきのこあるよ!!」 「ゆっゆ!・・・しゅご~い!」 「いっぱいあるからおねーちゃんたちにもあげりぇるよ!」 「そうだね!ぜんぶもってかえろうね!」 いそいそと口にキノコを含んでいく母れいむ。 子れいむはどんどん口に入っていくキノコを見て目をきらきらと輝かせました。 「おかーしゃんのいぶくろはうちゅうだね!」 「ゆふん!」 子れいむの声援に答えるように母れいむはキノコを口に含みます。 やがていっぱいになると母れいむは子れいむと共に巣に戻りました。 巣では帰りの遅い母れいむを残った子れいむが心配していました。 「おかーしゃんおかえりなさい!」 「ゆゆっ!おかーしゃんおおきくなっちぇる!」 子れいむが驚いていると母れいむは口から大量のキノコを吐き出しました。 「ゆゆゆ!おいしそう!」 「おかーしゃんどうしたの!」 「れぃむがみちゅけたんだよ!」 そういって母れいむの腋から現れた妹れいむに子供達はさらに驚きます。 「さすがれーむのいもうとだね!」 「でもしんぱいしたんだよ!」 「そうだよ!おかーさんがいないのにとおくにいかないでね!」 「うん、もうひちょりでそとにはいかにゃいよ!」 「れーむたちもきをつけるよ!」 母親と一番上の姉れいむに注意され、もう二度と勝手に遠くに行かないと子れいむ達は誓いました。 そんな子供達への説教が終わると、眼の前のキノコに話が移ります。 「これならしばらくだいじょうぶだね!」 「おかーしゃんがとりにいかなくてもへいきだね!」 「ゆ!そうだね!しばらくは巣でいっしょにゆっくりできるよ!」 「やっちゃね!」 「れぃむといっちょにいようね!」 突然降って湧いた幸運にれいむ達はうれしくてたまりませんでした。 それからしばらく、このれいむ家族は一度も巣から出ることなく、巣の中でゆっくりとしていました。 食べ物が無くなったらまたキノコを採りに行けば良い。母れいむは久しぶりにゆっくり出来たので上機嫌です。 子供達もそんな母親の様子を見てうれしくなり、母親に擦り寄って遊びました。 れいむ家族はずっとゆっくり出来ると思っていました。 しかし、四季の変わり目はもうすぐそこまで来ています。 巣からあまり出なくなったれいむ家族にはそれが分かりませんでした。 「まったく、れいむたちはなにをやってるのかしら!」 風が冷たく感じ始めたころ、一匹のゆっくりありすがれいむの巣に向かっていました。 このゆっくりありすは母れいむの友達で冬篭りの準備が出来てもやってこない母れいむに痺れを切らしてやってきたのでした。 巣の前までやってくるとありすは中にいるであろうれいむ達に声をかけます。 「ゆっくりしていってね!」 しかし、待てども待てども返事が返ってきません。 このまま待っていても埒が明かないので、ありすは巣に入りました。 中ではれいむ達がキノコを食べてとてもゆっくりしていました。 「ゆっ!おいしそうなきのこね!」 「ゆゆっ!ありす!」 いきなり現れたありすに子供達は母れいむの後ろにかくれました。 「こわがらなくていいよ!このありすはれいむのともだちだよ!」 「そうよ!さっきからよんだのにへんじがなかったわ!だからとかいてきじゃないけどあがらせてもらったわ!」 「ゆ~ありすごめんね!」 ありすの声に気付かずゆっくりしていたれいむはありすに申し訳無さそうに謝りました。 ありすはそれで少しだけ悪かった機嫌を直して笑顔を見せます。 「ありすはきにしてないわよ!・・・ってそうじゃないわ!」 「ゆゆっ、どうしたのありす!」 「れいむたちがふゆごもりにこないからよびにきたのよ!」 「ふゆごもり?」 聞いたことのない単語に子れいむが不思議がります。 母れいむは子れいむに教えようとしましたが、時間がないのかありすが急かしました。 「いまはじかんがないわ!すぐにじゅんびしてゆっくりすぽっとにむかってね!」 「ゆ!わかったよ!」 「じゃあありすはもういくわ!れいむもゆっくりしないでね!」 ありすは言いたいことを言うとすぐにれいむの巣を離れました。 れいむ達が住む地域は冬にはかなり冷え込み、ゆっくり家族だけでは越冬できませんでした。 なので、ゆっくりスポットと呼ばれる大きな洞窟などに集まって身を寄せ合って眠り春を待つようになっていました。 ゆっくりスポットにはゆっくり制限があり、主にぱちゅりーの判断で入れるゆっくりの数を制限していました。 ありすが急いでいたのはゆっくり制限で入れなくなってしまうのを恐れたからです。 母れいむも一度ゆっくりスポットで越冬を経験していたのですぐに準備を始めようとします。 「おかーしゃんふゆごもりってなーに?」 「ゆーっとね、もうすぐここじゃゆっくりできなくなるんだよ」 「ゆゆゆゆ!?」 「だから、みんなのいるばしょにあつまらないといけないの!」 「そーなのかー!」 「れーむたちもじゅんびしてね!すぐここをでるよ!」 母れいむはすぐにゆっくりスポットに行く準備を始めました。 母れいむは子れいむもすぐに準備してくれると思っていました。 なので、れぃむが反対したのに驚きました。 「やだ!れぃむはまだうごきたきゅないよ!」 「どおおおしてええええ!はやくうごかないとゆっくりできなくなるよ!」 「でもきのこしゃんまだいっぱいあるよ!」 「ゆゆゆ・・・」 冬篭りには食料は必要ありません。 だから巣に残っている食料はすべて捨てる必要がありました。 れぃむは自分が見つけた食べ物を残していくことが不満だったのです。 「まだあっちゃかいよ!きのこたべてからでもまにあうよ!」 「ゆゆゆ・・・」 れぃむの発言に母れいむは困ってしまいます。 これを見た他の子れいむは相談してれぃむの方に回ります。 この子れいむ達もキノコに不思議な魅力を感じていたのでした。 「きのこちゃべちぇからいこうよ!」 「そうだよ!」 「もっちょゆっくりしちゃいよ!」 「ゆっくち!ゆっくちぇ!ゆっくりょ!」 母れいむは子れいむの反論に去年の冬篭りの記憶を思い出そうとしました。 母れいむが入ったゆっくりスポットはまだ時期が早かったので洞窟の中はすかすかでした。 母れいむは仲間が集まる間スポットの周りの食べ物を食べたり、他のゆっくりと話したりして冬眠まで過ごしたのを思い出します。 今回もまだまだ空きがあるだろう。母れいむはそう結論付けました。 「わかったよ!きのこがなくなるまでここでゆっくりしようね!」 「おかーしゃんだいちゅきー!」 「ゆっくりしようね!」 母れいむが賛成してくれて子供達は大喜びです。 そんな姿を見て母れいむも反対しなければ良かったと思いました。 こうして、ありすの忠告も無視して母れいむは巣でゆっくりし続けました。 今は友達よりも子供達のほうが大事でした。 母れいむはしばらく巣から出てないことも忘れて、巣で子供達と仲良くゆっくりとしていました。 「ゆ~、とうとうさいごのきのこだね!」 「これをたべたらゆっくりすぽっとにむかおうね!」 「とうみんたのちみ!」 「しゅっごいゆっくりできそうだよ!」 「ゆっくちできりゅといいね!」 あれからもキノコを食べ続けて3日後、とうとうキノコがなくなりました。 キノコ以外の食べ物も残っていたので残さず食べました。 もう巣には食べ物は残っていません。 れいむ達は巣を枯葉と枝で上手に隠して外に出ました。 「ゆ~、しゃ、しゃぶいいいいいいいい!」 「ゆっくりできないいいいいいいい!」 「ゆぐぐぐぐぐぐう!」 「ぐるじお・・・」 保温効果のあった土の中からみて外の世界は極寒です。 震えてる子れいむに母れいむは用意していた白いもこもことした綿を被せました。 「これでさむくないよ!」 「ゆ・・・ほんちょだ!さみゅくないよ!」 「ぽかぽかー!」 「これならゆっくりできるよ!」 「ゆぅ~ん」 母れいむの用意していた綿は子れいむ達をすっぽり覆いました。 上手に穴を開けているので動きを妨げることもありません。 元気になった子供達を連れて母れいむは記憶の中で一番近いぱちゅりーの巣に向かいました。 ゆっくりスポットはぱちゅりーが管理してることがほとんどです。 ぱちゅりーの巣の近くには必ずと言っていいほどゆっくりスポットがありました。 れいむ達がゆっくりスポットにつくと、スポットは冬眠のために入り口を閉じている最中でした。 れいむ達は急いで中に入れてもらおうと指揮をとっているパチュリーのところに向かいます。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ぱちゅりー!れいむたちもなかにいれてね!」 「「「「いれちぇね!」」」」 れいむ達はすぐに中に入れてもらえると思い巣の入り口に向かいました。 しかし、ぱちゅりーが行く手を塞ぎます。 「ゆゆっ、ぱちゅりーじゃましないでね!」 「れいみゅたちはさむさでこごえしょうだよ!」 「はやくいれちぇね!」 母れいむの抗議に子れいむも声を重ねます。 それでもぱちゅりーは動きません。 ぱちゅりーは言い聞かせるようにれいむ達に話しました。 「ざんねんだけどもうゆっくりせいげんよ」 「ゆ!?」 母れいむは驚きます。 「そんなわけないよ!まだいっぱいあきがあるはずだよ!」 「あなたたちはくるのがおそすぎたのよ!こんなじきじゃあいてるわけないわ!」 「ゆぐぐぐぐ・・・」 何とか入ろうと穴の辺りを見ましたがこちらをまりさとみょんが見ていました。 ぱちゅりーだけならどうにでもできましたが、まりさとみょんが一緒では勝てません。 「もういいよ!いじわるなぱちゅりーのとこなんかいかないよ!やさしいぱちゅりーをさがすよ!」 「いじわるー!」 「ゆっくりちね!ゆっくりちね!」 れいむ達は別のゆっくりスポットに向かいます。 罵声を受けたぱちゅりーは怒るわけでもなく、どうしようもなかったのだと自分に言い聞かせ、スポットの入り口を防ぎに戻りました。 「どおしてどこもあいてないのおおおおおおおお!」 「「「「ゆわああああああああん!」」」」 あれからいくつかのゆっくりスポットを巡りましたがどこも入れてもらえませんでした。 思いつく限りの場所に向かいますが、制限になっていたり、もう既に冬眠していたりしていました。 最初は強気であったれいむ達も辺りが暗くなるころにはこのまま入れないのではないかと不安げな表情を隠せなくなっていました。 「おかーしゃん・・・」 「ゆっ、だいじょうぶだよ!きっとはいれるところがあるよ!」 「しょ、しょうだね!」 「ゆうううう・・・」 子れいむの不安を母れいむは必死に宥めます。 そんな中キノコを見つけたれぃむがみんなに向かいました。 目には涙が溜まっています。 「おかーしゃん、おねーしゃんごめんにゃさい!」 「ゆゆゆ、どーしたの!?」 「れぃむのせいでこんなことになっちゃから・・・」 「れぃむ・・・」 子れいむは自分のせいだと責任を感じていました。 母れいむも姉れいむも何も言えません。キノコのとき一緒に賛成したことを忘れていませんでした。 母れいむはそんな子れいむににっこりと微笑みました。 「つぎのすぽっとはぜったいあいてるからだいじょうぶだよ!」 「おかーさんほんとう?」 「ほんとうだよ!あそこはいちばんおおきいからね!」 母れいむの自身に満ちた顔に子れいむは涙を止めました。 他の子れいむにも元気が戻ります。 母れいむは嘘を付いていました。 しかし、今は元気であってほしいと母れいむはばれない様に懸命に演技しました。 次のスポットが母れいむの知る最後のスポットです。 ここに入れなかったられいむ達は死ぬしかありませんでした。 「ゆゆっ、ここだよ!」 「ゆ~、おおきいね!」 れいむ達は大きそうに見える洞窟の前にいました。 幸い、入り口にぱちゅりーが見えました。 まだ冬眠してはいないようです。 れいむは今度こそと自分に気合をいれ、ぱちゅりーに向かいました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「れいむたちをいれてください!」 頭を下げてぱちゅりーに頼み込みます。 子れいむはその様子を心配そうに見つめていました。 「ゆぅ・・・もういっぱいだったかしら・・・」 「だいじょうぶだよ!れいむたちはいれるよ!」 制限に来ているか考えるぱちゅりーをみてれいむは入れてもらおうと必死に食らい尽きます。 ぱちゅりーが難しい顔をしているとれいむ達のしった顔が現れました。 「あら!れいむたちじゃないの!?」 「ありす!」 友達の顔を見てれいむは笑顔を取り戻します。 「あなたたちどこもはいれなかったの!?」 「ゆぅ・・・」 「だからゆっくりしないでっていったのよ・・・」 ありすでも制限はどうしようもありません。 れいむが再び不安な顔になろうとした時、奥から二匹のゆっくりが現れました。 「わかるよー、はいりたいんだねー」 「そこのおおきいれいむだけならはいれるんだぜ!」 奥からやってきたのはゆっくりちぇんとゆっくりまりさでした。 ちぇんが入り口の騒ぎに気付き、まりさと一緒に数を調べてくれていたのです。 やっと掴んだ一匹の空き。しかし、れいむ達は4匹。 「おかーしゃんれーむたちははいりぇないの?」 「おかーしゃん・・・」 「ゆぐぅ・・・」 母れいむに置いていかれるのではないかと子れいむは急に不安になりました。 母れいむよりそって離れたくないと頬をむにゅっと引っ付けます。 困った母れいむにまりさは提案しました。 「いっぴきぶんのあきだけどちびたちなら4ひきいけるんだぜ!」 「かなしいのはわかるよー、でもどっちかしかはいれないよー」 「れいむ・・・」 母れいむは決断を迫られました。 答えはもう決まっていましたが。 「じゃあこどもたちをおねがいするよ!」 「わかるよー、かなしいけつだんだねー」 「わかったんだぜ!こどもたちはまりさがかならずせわするぜ!」 「れいむ、ほかにあてはあるの? れいむの決断にちぇんが同情し、まりさが子供を置いていくれいむに心配させないように話しかけ、ありすはれいむの心配をしました。 「だいじょうぶだよ!まだすぽっとはあるよ!」 「そう、ならいいわ!いそいでむかったほうがいいわよ!」 れいむの自信満々な顔にありすも納得し、れいむに激励を送りました。 「むきゅー。きまったようね」 「こどもたちをおねがいね!」 「わかったわ。じゃあここもしめるわね。」 母れいむを置いてゆっくりスポットの入り口が閉まりだします。 子れいむは徐々に見えなくなる母れいむに向かって飛び跳ねていきます。 母れいむは心配そうな子れいむを安心させるように微笑みました。 「ニヤ・・・」 「ユッ!?」 その母れいむの表情は子れいむ達の動きを止めました。 とうとう入り口が完全に閉まってしまいます。 もう子れいむではどうすることも出来ませんでした。 「おかーしゃん・・・」 「だいじょうぶだぜ!ほかのばしょにきっといけるんだぜ!」 「そうよ!それよりはるにおかーさんにあえるようにとうみんするのよ!」 子れいむ達はスポットの奥に向かいます。 初めて入ったゆっくりスポットには様々なゆっくりが犇めいていました。 「ゆ~、なんだかあかるいね!」 「ほんちょだ!おうちはこんにゃにあかるくなかっちゃよ!」 「どこかあいてるのかな?」 「ゆぅぅうん・・・」 子れいむ達はみょんに明るいスポットを不思議そうに思い、辺りを見回します。 やがて空中に浮いている白い物体を見つけました。 「あれだよ!あれがあかりゅいんだよ!」 「あれなんだろ?」 れいむの質問にまりさが答えます。 「あれはみょんのはんれいってやつだぜ!」 「はんれい?」 「よくわからないんだぜ!でもだいじなものらしいぜ!」 「ゆゆっ!」 だいじなものと聞いてれいむは自分のリボンを思い浮かべます。 「あいつがみょんだぜ!」 「ちーんぽ!」 「ゆっくりしていってね!」 初めて会ったみょんは変な泣き声でしたが子れいむ達は不思議と挨拶していました。 他にも様々なゆっくりと会った後、まりさの言っていた空きにつきました。 「ここだぜ!ちょっとまわりにうごいてもらってありすとちぇんもはいれるようにしたんだぜ!」 「さすがまりさね!」 そこには藁が敷かれていました。 これなら暖かそうです。 「わかるよー、ちょっとすくないよねー」 「さすがちぇんだぜ!」 いつの間にかいなくなっていたちぇんが戻ってきました。 子れいむ達からはまりさに隠れて見えませんでしたが、すぐに口に藁を咥えたちぇんが見えました。 「きみたちはそれじゃたりないよー」 ちぇんはそういい、子れいむ達の周りに藁を積んでいきます。 「ぽかぽか~」 「ちあわちぇ~」 子れいむは母れいむとちぇんの用意してくれた藁と綿でぬくぬくです。 しかし、まりさたちの顔はまだ晴れていませんでした。 「ゆぅぅ、これじゃたりないんだぜ・・・」 「こまったわ・・・」 「もうわらはなかったよー・・・」 悩んだ結果、まりさが防止を脱ぎだしました。 「まりさどうしたの!?」 「このぼうしをかぶせばあったかくなるんだぜ!」 「わかるよー!それならじゅうぶんだよー!」 まりさは子れいむの上に帽子を置きます。 「ゆ~、なんだかねみゅくなっちぇきた・・・」 「れーむも・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「ゆゆゆゆ・・・」 子れいむ達は冬眠のための眠気で船を漕いでいました。 「もうだいじょうぶだぜ、まりさたちもいっしょにねるんだぜ」 「またはるにあいましょうね」 「わかるよー、ぜったいだよー」 既に眠っている子れいむを見ながら3匹はゆっくりと眠りにつきました。 「ざ、ざぶいいいいいいいいいい!」 木枯らし吹き荒れる森に母れいむの悲鳴が響きます。 母れいむは必死にスポットを探しました。 しかし、開いている場所を見つけれず、辺りは暗くなっていました。 さらに追い討ちをかける物が空から降り始めます。 「ゆゆっ!?ゆきだあああああああ!」 母れいむには死の雪でした。 たまらずれいむは近くにあった木の根元の穴に逃げ込みます。 雪は降り止む気配を見せませんでした。 「ゆ~、もうつかれたからあしたさがすよ!」 れいむは独り言を呟いて眠り始めました。 一日中飛び跳ねていたれいむはぐっすりと眠ってしまいます。 雪はれいむのことなど気付かないかのように世界を白く変えていきました・・・ 「ゆゆっ・・・すっきりー!」 母れいむは十分な睡眠を取り、元気に目を覚ましました。 そして穴から外に元気よく飛び跳ねます。 そんなれいむの飛込みを白い地面はしっかりと受け止めました。 「ゆ?ゆゆゆゆううううう!」 森は姿を変えていました。 白くなった地面はれいむのとんだあとを綺麗に残していました。 れいむは気付いてしまいました。 もう開いているゆっくりスポットはないのだと。 それでもれいむは探すしかありませんでした。 ちっぽけなれいむなど白い世界では唯の点です。 「ゆーしょ!ゆーしょ!」 「ゆ~、しろくてどこかわがらないいいいいいいい!」 「ゆぅ、なんだかちからがはいらないよ・・・」 「れいむのあかちゃんたちだいじょうぶかな・・・」 「ゆっ、れいむもがんばりゃないt・・・」 ちっぽけな点はやがて見えなくなってしまいました。 「おきるんだぜ!はるがきたんだぜ!」 まりさがまわりのゆっくりを起こし始めます。 その声で周りのゆっくりが目を覚まし始めました。 あれからなにも起きず、スポットの住人は無事春を迎えることが出来ました。 「「「「ゆ~、しゅっきりー!」」」」 子れいむ達4匹も初めての越冬を無事乗り越えれたようでした。 「まりしゃおねーちゃんありがと!」 「しゅっごいあたたかかっちゃよ!」 「それはよかったんだぜ!まりさもうれしいぜ!」 まりさは帽子を被りなおしました。 そこに入り口を開けにいっていたありすとちぇんが戻ってきます。 「いりぐちがあいたわよ!」 「そとははるだよー」 「わかったんだぜ!」 三匹は子れいむに向かい問いかけます。 「れいむたちはどうするんだぜ?」 「れいむはまだきてないみたいね・・・」 「わかるよー、まだおきてないんだよー」 子れいむの返事は決まっていました。 「「「「おうちでゆっくりまちゅよ!」」」」 「わかったよー!ならこれもっていってねー」 「それがあればしばらくもつんだぜ!」 「れいむがもどったらもっとおいしいものをもらいなさい!」 三匹が渡したのは巣の近くで取った植物や虫をまとめたものでした。 「ありがちょー!」 「おいししょー!」 「ちょっとたべちゃいよ!」 「だめだよ!おかーしゃんがかえるまでゆっくちたべるよ!」 それぞれ食べ物を抱えたれいむ達は3匹とぱちゅりーに見送られてこれまで暮らしていた巣に戻りました。 「ひしゃしぶり~!」 「やっぱりここはゆっくちできるね!」 「おねーちゃんゆっくちちていっちぇね!」 「れぃむもゆっくちしていってね!」 巣には食べるものは何もありませんでしたが、それ以外は何も代わりがありませんでした 貰った食べ物を置き、4匹の子れいむは母れいむの帰ってくるのを待ちました。 いつまでもいつまでも待ちました。 それでも母れいむは帰ってきません。 もう貰った食べ物は食べ尽くしてしまいました。 「おねーしゃん、おにゃかすいた・・・」 「もうすぐおかーしゃんがもどってくるからゆっくちまとうね・・・」 子れいむ達はもう食べ物をとりにいく元気は残っていませんでした。 話しているのも二匹だけで、もう二匹は既にうつろな目で上を見つめています。 それでも子れいむ達は母れいむの帰りを信じていました。 子れいむ達の巣の外では、冬を乗り越えた生き物が元気よく動き回っていました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/183.html
ずっと考えていた。 ゆっくりフラン、ゆっくりれみりゃを繁殖させるにはどうしたらいいのだろう? 事の発端はこうだ。 俺はゆっくりが大好きで、家でゆっくりれいむ、魔理沙たちにゆっくりアリスをけしかけて繁殖しては、食べたりつねったり沈めたりごちそうを与えてすぐに奪ったり思い切り蹴飛ばしたりしていた。 俺の行動一つで表情が極端に変わり絶叫するゆっくりが可愛くて仕方なかった。 とくにお気に入りなのがゆっくりれみりゃことゆっくりゃだ。しかしこのゆっくりゃは紅魔館付近でないと見つけられない貴重種。命がけで紅魔館に侵入し手に入れたこの一匹が、俺のそばにいる唯一のゆっくりゃだった。 「うー! うー!」 もちろん大事にしている。 他のゆっくり以上に、千切って食べたりつねったり沈めてみたりごちそうを与えてすぐに奪ったり思い切り蹴飛ばしたりして可愛がった。比率でいうと、他のゆっくりが1ならゆっくりゃは10だろう。とくにいくら千切っても再生してくる肉まんの生地は最高だ。 「も゛うやめでー!!」 ああ、可愛いな泣き顔。 そんな風にゆっくり達を可愛がりながら過ごしていたある日。 発情したゆっくりアリスがゆっくりゃに襲いかかっていた。 「れっ、れっ、れみりゃっ!」 「お゛、お゛う゛ち゛か゛え゛し゛て゛ー!」 思わず、手荷物を床に落としてしまう。 普通なら襲われてもゆっくりゃは飛び立ち、そのまま返り討ちだろう。 しかし今のゆっくりゃには羽がなかった。正確にいうと昨日俺が千切ってまだ再生しきっていなかった。 飛べないゆっくりゃはただのゆっくり肉まんだ。不意を突かれたらどうしようもない。 なんでだ……なんでゆっくりアリスがここにいるんだ……ちゃんとドアに鍵を閉めて隔離しておいた筈だぞ……。 「ゆ、ゆっくり! ゆっくりぃぃぃっ!」 「い゙い゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!」 呆然とする俺の前で痙攣するゆっくりアリス。普段の声からは想像できない絶叫を上げるゆっくりゃ。ゆっくりゃは絶叫も可愛いな……。 とりあえず落ち着こうと、痙攣してゆっくりしているアリスを鷲づかみで持ち上げ、そのまま串に刺し、火で炙ることにした。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ! あ゙づい゙よ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙っ!」 やっぱり冷静になるには甘味が一番だよな。 甘露、甘露。美味しかった。 どうにか冷静には慣れたが、現実の重さが俺を押しつぶそうとする。 ゆっくりゃは目を見開き、口を開いたままぴくりとも動かない。絶叫を上げたまま逝ってしまっていた。 ああ、ゆっくりゃ……俺の唯一のゆっくりゃが……。 また紅魔館に侵入するしかないのか……。 がっくりと項垂れながら動かないゆっくりゃに手を伸ばす。 あらためてゆっくりゃを見ようとそのまま持ち上げた時、ふと疑問が浮かび上がった。 「……なんで茎が生えないんだ?」 普通ゆっくりは、繁殖が終わると母体の体から茎が生えてきて、そこへ実をつけるように赤ん坊のゆっくりが生まれてくるものだ。少なくとも家で試したゆっくりはそうだった。 しかしれみちゃの体には茎なんて生えてくる様子がまるでない。仮にも繁殖行為だったのだから、何か生えてきてもおかしくない筈だ。 「……」 ゆっくりれみりゃは希少種だ。他のゆっくりに比べて非常に数が少ない。 それはもしや、繁殖方法が特別だから……? 湧き出てきた疑問をきっかけに、俺の頭は回転し始める。 頭へ栄養をまわそうと、手に持っていたゆっくりゃを丸呑しながら、俺は考えを巡らせていった。肉まん美味しいです。 夜も耽り、辺りが真っ暗になった頃。 草むらで音が立たないように忍び足で進みながら、俺は紅魔館の庭を歩いていた。 結局いくら考えても実際に試さないと埒が明かないものだ。まずは色々試してみよう。 ちなみに探しているのはゆっくりゃともう一匹、ゆっくりフランことゆフランだ。 下手にゆっくりゃで実験し、またすぐにゆっくりゃを失うのは困る。まずはゆフランで実験し、それからゆっくりゃだ。 二匹を捕まえるのは一見大変に思えるが、実はゆっくりゃを捕まえたらゆフランは釣られて出てくるのだ。前回ゆっくりゃを捕まえた時がそうだった。あの時はせっかく捕まえたゆっくりゃを食われそうで焦ったが、おかげでゆフランの対処法はわかっている。 だからゆっくりゃさえ見つけてしまえば話は早いんだが……。 「うー! うー!」 ……噂をすればなんとやら。 声に反応して振り向くと、にこやかに笑っているゆっくりゃがいた。口にあんこがついているので餌にありつけたばかりだったのだろう。 それにしても……可愛いな。 満腹そうな顔が可愛くて思わず蹴り飛ばしたくなる衝動を必死で堪えた。さすがにこれまでの苦労を一蹴りで水の泡にするわけにはいかない。 俺は忍び足を止めて、そのまま自然にゆっくりゃへと近づいていった。 「う?」 こっちへ顔を向けるゆっくりゃ。 近づいてくる俺に気がつくと、嬉しそうに近づいてきた。 「がぁおー。たーべちゃ~うぞ~!」 他のゆっくり達ならこの言葉に恐怖するだろうが、俺からするとまたじゃれついてきたなと思う程度だ。 紅魔館のゆっくりゃは可愛がられた結果、人慣れしすぎたのか、人を見つけるとそのまま無防備に近づいてくるのだ。 だからゆっくりゃさえ見つけてしまえば、後は近づいていってそのまま手で捕まえてしまえばいい。 「うー! うー!」 知らない人の手で掴まれているのに、遊んでくれると思っているのか喜び始めるゆっくりゃ。 さて、あとは……。 がさがさっと、木の枝が揺れる音がした。 「うあ!」 腕の中のゆっくりゃが声を上げる。近づいてきているモノがなんなのか、本能的に理解しているのだろう。 ゆフランはゆっくりゃに気がつくと飛び立ち、そのまま一直線にこちらへと向かってくる。その際に羽が木の枝に当たって音がするので、どこから鳴ったかさえしっかり聞いていれば飛んでくる方向は分かるのだ。 ギョロりとした目をゆっくりゃに向けて、勢いよく正面から突っ込んでくるゆフラン。 「うあ! うあ!」 だから、こうして勢いよく近づいて来た所を── 「ゆっくりしね!!!」 「断る」 撃退すればいい。 俺のかかと落としをまともに喰らい、ゆフランは地面にめり込んだ。 後頭部にはくっきりとかかとの跡が残っている。 あ、拙い、微妙に餡が出た。ちょっと強くしすぎたか……。 ゆフランの回復力を信じて、痙攣したままのゆフランを持ち上げ、持ってきたかごの中に放り込んだ。 「うー! うー!」 痙攣するゆフランを見ながらはしゃぐゆっくりゃ。はしゃぐのは良いけど、あまり暴れられると羽が体に当たって……。 「ぎゃおー!」 ……ん? ゆフランの入っているかごに向かって叫ぶゆっくりゃ。これは……? 「ぎゃおー! たーべちゃうぞー!」 ……。 ……もしかして勝ち誇ってるのか、これは? ゆっくりゃは何もしてないのに? 「ぎゃおー!」 叫んでいる意図に気づいた瞬間、反射的にゆっくりゃの顔に拳をぶち込んだ。 ……あ。し、しまった。つい勝ち誇ってる顔を泣き顔にしたくて……。 「う……」 ヤバイ、可愛い! じゃなくて! 「うわああああ!」 大声で泣き始めるゆっくりゃ。この声でまたゆフランが近づいてくる筈だが、泣き声が大きすぎて枝の音が聞こえない。不意を突かれたらそのままゆっくりゃを食べられてしまう。自分で自分の身を危険にしてどうするんだこの愛玩饅頭! ええぃ! 落ち着けおれ! こういう時こそこれだ! 俺は懐からホッチキスを取り出し、ゆっくりゃの口を塞いだ。 「……! ……!」 愛くるしい顔になったねっ! 途端、四方八方から聞こえてくる物音。 多いし! そんなにいらないのに! ……ええぃ、やったらーーっ! 泣き顔のゆっくりゃを脇に抱え、俺は飛んでくるゆフラン達と対峙した。 数時間後。 ようやく家に帰ってきたと腰を下ろす俺、同時に地面へ置かれたかごの中にはゆフラン達がぎっしりと詰まっている。元々少なめに考えていたので明らかに許容量を超えているが、全員がぐったりしているので無理矢理詰め込む事ができた。 ゆっくりの中で危険な種とはいえ結局は饅頭、押したら潰れるものだ。 「うー? うー?」 突然、紅魔館から別の場所に連れてこられ、不安そうにゆっくりゃが声を上げている。 ……さすがにここで泣かたり、暴れられるのは困るので。 俺は大きく息を吸った。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ!」 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっくりしようよっ!」 俺の声に反応して、隠れていたゆっくりれいむが3匹出てきた。普段は帰ってきたら何匹かは近づいてくるのだけど、今日は連れてきたゆっくりがゆっくりなので隠れていたのだろう。それでも声に反応するのがやっぱりゆっくりだが。 あ、1匹親れいむだ。あれは食い出があるぞーっ。 途端、ゆっくりゃの表情は輝き、れいむ達の表情は凍り付いた。 「がぁおー! たべちゃうぞー!」 「やーっ!」 「ゆっくり出ていってねっ!」 逃げるれいむに追いかけるゆっくりゃ。今の内にドアに鍵をかけて……と。 さて、それじゃ早速試してみるか。 俺はかごから一匹ゆフランを取り出す。丸い顔が変形し四角くなっていた。これはこれで可愛いな。 とりあえず手でこねるように形を丸くしてみた。 「ぁ゙っ、ぁ゙ぁ゙っ」 あれ? なんだ、意識あったのか。てっきりまだ戻ってないと思っていたんだが。 それじゃ回復を待つ必要はないな。 俺は両手で羽を持ち、そのまま思い切り毟り取った。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!」 途端、普段から見開いた目をより見開き、さっきとは比べものにならない大きさの声を上げるゆフラン。 初めてゆフランの絶叫を聞いたけど……これはこれで甘美だなぁ。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ! ざぐや゙ー! どごー!」 泣き叫ぶゆフランに、俺は魔法の言葉をかけてみた。 「これからたくさんゆっくりのいる場所に行くんだけど、来るかい?」 「……うー?」 興味深そうにこっちを見る。いいなぁこの変わり身の早さ。これからゆっくりは可愛い。 「ゆフランのためにたくさんのゆっくりを用意しておいたんだ、食べにいかないかい?」 「……う~♪」 泣いた饅頭がもう笑った。あとはこっちのものだ。 「それじゃ連れて行ってあげるよ」 そのままゆフランを抱えて、移動する俺。「うー♪ ゆっくりしね!」とはぎゃぐゆフラン。その目はもういつもの通り瞳孔が開き、赤く輝いている。 やがてドアの前へ来ると、鍵を開け、ゆフランを中へと入れた。 気配が分かるのか、入った瞬間からゆフランは視線をあちこち移している。 「みんな怯えて隠れているかもしれないけど、ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっくりしね!」 飛び跳ねるゆフランにそう声をかけ、俺はドアを閉め、また鍵をかけ直した。ドアには窓がついているので開けなくても中の様子は伺える。 ゆフランは相変わらず、楽しそうにあちこち見ながら飛び跳ねていた。毟り取った羽はまだ回復していないが、背中についた跡はもう消えてしまいつつある。 実際、この部屋にはゆフランの期待通りゆっくりが大量にいた。ゆフランのお腹をいっぱいにするなら充分な量だろう。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「うー♪ ゆっくりしね!」 「フっ、フっ、フっ、フランっ!」 ただ俺は、今まで発情したゆっくりアリス10匹に勝ったゆっくりを知らない。 襲いかかってくるアリスに噛みつくゆフラン。その瞬間、残りの9匹に押しつぶされた。 「ゆっ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆっ!!」 「ゆっくり゛ぃぃぃぃっ!」 悶絶するゆフラン。おおっ、ゆフランってこんな顔で悶絶するのな。いつかゆっくりゃと一緒に悶絶させたいものだ。 どうにか振り解こうと抵抗するが、1匹を振り解いてもすぐに別の1匹が襲いかかり、かまわず交尾を続けていく。 次第にゆフランの動きは止まり、だだ悲鳴だけが響くようになっていった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛っ゛く゛ぅ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛っ゛く゛り゛ぃぃし゛ぎね゛ぇえ゛え゛っ!」 ……そろそろ終わりそうだな。 「うー♪」 聞き覚えのある声に振り向くと、いつの間にかゆっくりゃがそこにいた。 口に大量のあんこをつけて。 「……美味かったか?」 「うーうー♪」 顔面を蹴り飛ばす。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」 やっぱり満足顔からの泣き顔が特に可愛いな。 結果として。 ゆフランには茎が生えてきた。 しかし生まれたのは1匹だけだった。 その1匹は、今、俺の手の中で遊んでいる。生まれたてで小さく、言葉も親ゆフランの「ゆっくりしね!」は言えず、ただただ「うー♪」と呻くだけだ。このまま丸呑みしたいな……。 しかし試しにと子供を持っていた親れいむに子ゆフランを預けた所、そのゆっくりれいむを子も含めて全部平らげてしまったので、小さいながらもやっぱりゆフランは違うというのを思い知らされた。 ここで問題なのは、子ゆフランを生んで親ゆフランは絶命してしまった事だ。以前、ゆっくりアリスに襲われたゆっくりゃのように朽ち果て、死んでいってしまった。 せっかく繁殖したのに一人の親で1匹では意味がない。そもそも他のゆっくりはだいたい4匹は繁殖していたのに、ゆフランだけ1匹なのはおかしいだろう。 一応、ゆっくりアリス以外のゆっくりも発情させて試してみたが、ほとんどの場合は子供は生まれず、ゆフランは最初のゆっくりゃのように絶叫したまま死んでしまった。 やっぱり繁殖の仕方が違うんだろうか……? そうして俺が悩んでいると、れいむが必死の形相でこっちに向かって来ていた。 「ゆっくりやめてね! ゆっくりさせてね!」 その後を追うように、ゆっくりゃが飛びながら追いかけている。 「がぁおー!」 ますます顔が涙で濡れるれいむ。しかし突然、目を輝かせて叫んだ。 「ゆっくり助けて! おじさんゆっくりさせて!」 どうやられいむは、俺に希望を求めたらしい。 「……」 そのまま足下へ駆け寄ってくるれいむ。このまま俺の後ろにでも隠れようと思っているのだろう。 ふむ……。 れいむをゆっくりゃに向けて蹴り飛ばした。 「ゆ゛っ!」 空を飛ぶれいむ。飛んでいく先では、口を大きく開き、ゆっくりゃがしっかりと待ちかまえていた。 「たーべじゃーうぞー!」 「ゆ゛っぐり゛ぃぃぃぃっ!」 にこやかにれいむを食べていくゆっくりゃ、凄く嬉しそうだ。 泣き顔もいいけど、たまには笑顔もね。……なんてな。 もちろんこれには事情があった。 この食べられているれいむ、実は隔離していたれいむと魔理沙が勝手に発情して作ってしまった子供なのだ。家の部屋にも限りがあるので繁殖する時もいろいろ考えて数を増やしているのに、勝手に増えたりすれば住めるスペースがなくなってしまう。 とりあえず親れいむと魔理沙はまだ生き残っているゆフランに食べてもらい、そして今、残りの子供達をこうしてゆっくりゃに食べてもらっていたのだ。 「んまんま♪ んまんま♪」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛っ!」 しかしいきなり部屋を覗いたら子供が増えていたのはびっくりした。俺の手で無理矢理揺らして発情させない限り交尾なんて滅多に行わないので油断していた。やれやれ。今度からはもうちょっと気をつけないとなぁ。 「んまーーーっ♪」 「ゆ゛っ゛ぐ゛り゛さ゛せ゛て゛ぇぇっ!!」 ……。 ……ん? そういえば……。 食事を済ませ、その辺りを楽しそうに飛び回るゆっくりゃ。その楽しげな様子に思わずバレーボールのようにたたき落としたくなるが、今の俺にはそれ以上に浮かんだ疑問が頭の中をしめていた。 ゆっくりゃって……。 「うー♪ ……う?」 もしかして、発情するのか? 気づけば、両手でしっかりとれみちゃを捕まえていた。 法悦とした様子だった。 「う゛っ……う゛っ」 どちらかといえば幼さの残るあどけない表情なゆっくりゃが、今はゆっくりアリスもびっくりなほど欲情した顔つきをしている。頬は赤くなり、口からはいつものあんこじゃなくよだれのような何かを垂らしていた。なんなんだこれ? 肉汁か? 自分の考えがあっていた事を喜びたい。……しかし疲れた腕はそれを許さず、ただ痙攣しているゆっくりゃをゆっくりと運ぶだけだった。 あれからゆっくりゃを抱え揺さぶり続けると確かに発情はした。しかし3時間振動させ続けてようやくだ。 他の種と違い、ゆっくりゃは性欲が薄いのか、軽く振動させただけではまるで反応はなく、暴れるゆっくりゃを押さえながら振動させ続けた結果、ようやく発情してくれた。おかげで腕は棒の用だが、必死で暴れるゆっくりゃがだんだん法悦としていく様子は俺の心に潤いを与えるには充分だ。 今のゆっくりゃはイキそうなところで揺らすのを止められ、触れたら暴発しそうなぐらいの興奮状態になっている。これから後の事がなければこのまま弄り回したいところだが、それは後に取っておこう。 もちろんこれから試すのは繁殖だ。しかし今までゆっくりアリスに襲わせて駄目だったものが、ゆっくりアリスを襲ってどうにかなるとは思えない。 ここはちょっと危険だが、賭けてみよう! ゆっくりゃをその部屋へ放つ。その部屋にはれいむのリボンや魔理沙の帽子や、ゆっくりアリスの食べカスが落ちている。 「……うー? ゆっくりしね!」 そこはゆフランの部屋だった。 無謀だと自分でも思う。 普通ならゆっくりゃはゆフランに食われて終わりだろう。そうなったらとてもとても悲しい気分になりながらゆフランを殴って泣き叫ばし、そのまま食べて落ち着こうと思うが、しかし発情したゆっくりゃならどうにかしてくれると、俺はどこかで期待していた。 「ゆっくりしね!」 大好物の登場に、ゆフランは赤い目をギロりと光らせながら近づいていく。 ゆっくりゃはピクリとも動かない。俺がまるで予想していなかった状況だ。睨まれた恐怖で竦んでしまったのだろうか? 口を開けて、食べる準備は万全なゆフラン。 そこで初めて、ゆっくりゃが動きをみせた。 「う゛……」 「う?」 まるで声も上げなかったゆっくりゃを不思議に思っていたのか、ゆっくりゃの上げた声にゆフランが反応する。 ゆっくりゃが続けて声にした。 「う゛……う゛ま゛せ゛て゛っ」 「ううっ!」 その時、始めてゆフランがゆっくりゃに対してたじろいだ。おおっ! スゲェ! 「う゛ま゛せ゛て゛ぇぇぇっ!」 「うーっ!!」 いつもと違う様子に慌てて逃げ出すゆフラン、それを上回る速度で追いかけていくゆっくりゃ。 その時によく見えたゆっくりゃの表情は、まるでゆフランのように目を見開き、赤く光っていた。 次第に追いつかれ、ゆフランはゆっくりゃに後ろから組み付かれた。 「ゆ、ゆっくりしね! ゆっくりしね!」 「う゛う゛う゛う゛っ!」 「ゆ゛っく゛り゛し゛ね゛ぇぇぇっ!」 どんどんゆっくりゃの体が激しく振動していく。 お互い、ゆっくりアリスに犯された時のように絶叫しながら、果てていった。 ドアの向こうで様子を見続ける。これが成功なら、後はゆフランに茎が生えて赤ん坊達が生まれてくる筈だ。 高まる期待。そんな俺の気持ちに合わせるかのように、ゆフランから茎が伸びてきた。 「きたきたきたきたぁーーーっ!」 思わずドアを開けて中に入る。 「うー♪ すっきり」 さっきまでゆフランのように変貌していたゆっくりゃは、何もなかったかのようにいつも通りの表情に戻っていた。 「う゛ー……う゛ー……」 「おぉっ! ゆフランも生きてる!」 今まで一度も生き残らなかったゆフランが生き残っている。俺は期待を一気に膨らませていった。この茎からたくさんの子ゆっくりゃが……!! そうして生まれてきた子供は。 ある意味、俺の期待を半分裏切ってくれた。 疲れた体を引きずりながら、部屋へと入っていく。 「あ、おじさん!」 「おかえり! おかえり!」 「ゆっくりしていってね!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 一気にわき上がるれいむの声。大量にいるゆっくりが一度に喋るから、後半はもうなんと言っているのか聞き取れない。 ここは俺がれいむを繁殖させていた部屋だが、他の部屋には移さずここでひたすら繁殖させていたために、気づけばどこを見てもゆっくりの顔があるぐらいぎゅうぎゅう詰めの状態になっていた。 「おじさん狭いよ、外に出してよ!」 「ゆっくりドアを開けてね!!」 ゆっくりしていってね!と言って間もなく、そんな要求をしてくるれいむ達。いつも餌を持ってきている俺に対しても、相変わらずの傍若無人っぷりだ。 「そうだな……今日はその事でいい報告をしに来たんだ」 「ゆ?」 「今日からは外に出て遊んでもいいぞ」 「ゆっ!」 れいむ達から驚きの声が上がる。無理もないだろう、今の今まで何があっても外には出るなと言い続けてきたのに、いきなり外に出てもいいと言われてたのだから。 「本当に? ゆっくりしてもいいの?」 「ああ、本当さ。外でゆっくりしてもいいんだよ」 「ゆっくり外に出るね!」 ゆっくり達が外に出られるようにと、まず仕切りになっていたシャッターの鍵を開け始める俺。こいつら全員を移動させるには、ここを開けるのが一番だろう。 「おじさん、ゆっくりいそいでね!」 「おそとであそんでね!」 「おじさん大好き! 早くあけてね!」 「分かった分かった」 鍵を開け、そのまま両手でしっかりとシャッターを掴む。 「それじゃ開けるぞー」 「早くゆっくりしてねっ!!」 「おそとであそばせてねっ!!」 「ゆっくりしないでねっ!!」 俺は渾身の力を込めて、シャッターを一番上まで開けた。 勢いよく飛び出していくれいむ達。 そして、ほとんどのれいむは硬直して動けなくなった。 「うー! うー!」 「ゆっくりしね!」 「ぎゃおー! たーべちゃうぞー!」 シャッターの向こうでは大量のゆっくりゆフランとゆっくりゃが待ちかまえていた。 「そいつらの向こう側に外へ出るドアがあるから、みんな頑張ろうー」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 いち早く反応した親れいむの絶叫を合図に、大混乱が始まった。 食べられ襲われ逃げまどい追いつかれる中で、俺は一人ドアを開けて部屋を出た。 廊下には机と椅子を用意してあり、座ったまま部屋の中を覗くための窓も ある。 この日のために用意した部屋での光景は、俺の気持ちを高ぶらせるには充分な光景だった。 子れいむはゆフランとゆっくりゃ、そして身内である筈のれいむからも噛みつかれあっという間にいなくなっていた。普通のれいむも食べていたのは、混乱の中で側にいたからとりあえず食ったのだろう。食べたれいむは笑顔のまま口を動かしている。あ、ゆフランに噛みつかれた。あはは、絶叫してるや。 親れいむは必死に子供たちを守ろうとするが、それが仇となって集中砲火を浴び、もはや中身の餡もほとんどない状態で床に倒れ、痙攣を繰り返していた。10匹を超えるゆっくりゃとゆフランに襲われてるなんてここでしか味わえないだろう。貴重な体験だったね。 そんな親れいむを見て子れいむが「お゛があ゛ざん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」と泣き叫んでいるがまるで反応はない。子れいむはそのまま泣き叫び、近くに来たゆっくりゃに食べられていった。 あの時、ゆフランの茎から生まれてきた赤ちゃんは4匹、ゆフランとゆっくりゃで2匹ずつの子供が生まれていた。 てっきり襲ったゆっくりゃの子供だけ生まれてくると思ったので最初はびっくりしたが、どうやらゆフランとゆっくりゃの組み合わせだとお互いの子供が生まれるらしく、ゆフランを欲情させてゆっくりゃを襲わせても、場所や時間を変えてみても変わらずお互いの子供が生まれてきた。 だがそれよりも、ゆフランもゆっくりゃも死ぬことなく繁殖を繰り返す事ができたのが大きかった。何度も何度も発情させて無事に生まれてくるのを確認した時、俺は喜びのあまり思わず生まれてきた赤ちゃんを全員そのまま食べてしまったぐらいだ。あんまんと肉まん美味しいです。 それにしても、この2匹が希少種になった理由もよくわかった。ただでさえ相手が少ないのに、ゆフランはさらにゆっくりゃを襲って食べてしまう。繁殖できる相手なのにお構いなしなのだ。これでは数は増えないだろう。 「あ゛あ゛あ゛あ゛っ! ゆ゛っぐり゛がま゛な゛い゛で!」 「うー♪」 部屋の中では子ゆフランが自分より大きなれいむを少しずつ食べて食べて消化していく。噛みつかれたれいむは、まるでシロアリに犯された柱のように徐々に削られ、穴が開いている。全部食べられるのも時間の問題だ。 そんな子ゆフランの横で、ゆっくりゃの側を離れずについていくゆっくりがいた。体は普通の大きさだが、他のゆっくり達が絶叫している中で、ひたすら楽しそうに笑っている。 それこそが子ゆっくりゃだった。 子ゆっくりゃは、他のゆっくりを食べるゆっくりゃの子供とは思えないぐらいに弱かった。 生まれたての割に体は大きいのだが、そのくせ子ゆっくりゃは赤ちゃんれいむにさえ勝てないぐらい弱いのだ。 それなのに目立つ体格なので他のゆっくりたちから狙われやすい。 生まれてから長い間、ゆっくりゃは子供の側から離れない事が多かった。まだ子供には自分を守れる力がないと分かっていてしっかり守っていたのだろう。 しかしそんな子ゆっくりゃは、こういう場所では足を引っ張る役目にしかならない。 「ゆっくりしねっ!!」 「う゛ーーーっ!」 守っていた親ゆっくりゃはゆフランに食い殺されてしまった。 そのまま子ゆっくりゃに近づいていくゆフラン。 「うー♪ うー♪」 しかし子ゆっくりゃはまるで状況を分かっていない。まるで遊んで欲しそうに手を伸ばして笑顔を向けようとする。それを見てゆフランの口が楽しそうにつり上がった。 結局、子れいむが危険だとようやく理解したのは、ゆフランに噛みつかれて餡を吸い出された瞬間だった。 「あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!」 叫んでみたものの抵抗らしい抵抗なんて出来はしない。そのまま吸い続けられ、全ての餡を全て吸い尽くされた。 まさか、ゆっくりゃの子供があんなに無力な存在だったなんて……素敵すぎる。 長い日をかけて準備してきたこの宴もそろそろ終わりが近づいてきた。やはり生き残っているほとんどはゆフランだが、れいむも僅かに生き残っている。 「ゆ……ゆ゛っく゛り゛ー! ゆ゛っく゛り゛し゛て゛ね゛ー!!」 部屋の隅に縮こまってガタガタと震えているが、もうお腹いっぱいになったのだろう。ゆフランもゆっくりゃも反応しなくなっている。 ゆっくりの色々な顔を見たくてやってみたこの宴だったが、俺的には大成功だった。あんな愛くるしい顔で絶叫されたり絶望に打ち震えたり恐怖に怯えたり嬉しそうにはしゃぎ回られる姿を大量に見られて俺はもうゲップが出そうだ。 「うー♪ うー♪」 「ん?」 向こうからとたとたと、ゆっくりゃが歩いてきた。他のゆっくりゃと違い、饅頭から体が生えており、羽より足を使って移動することが多くなったゆっくりゃだ。 このゆっくりゃは一番長生きしているゆっくりゃだ、どうもゆっくりゃは他のゆっくりとは違い徐々に成長して、立派な体が生えてくるらしい。このままさらに長生きさせたらどうなるんだろうな? ゆっくりゃは俺の周りを走り回っている。どうやら駆けっこをして楽しんでいるようだ。 足を引っかけて転がしてみた。 「えぐっ! ……うぅーっ」 涙目になるが、涙は流れない。こうやって何度も転けさせたせいでちょっと慣れたのだろう。凄い我慢している。 ゆっくりゃが泣くのを必死で耐えるなんて……。 そんな新しい反応で、俺をまた喜ばせてくれるのかい! 嬉しさのあまり身を悶えさせながら、俺はゆっくりゃの頬を引っぱたいた。 「うぅ、う゛あ゛ーーーーー!!」 泣き声が俺の全身を燻る。 ……今度はどうやってゆっくり達を愛そうかな? 明日のゆっくりに楽しみが止まらない俺だった。 by 762 選択肢 投票 しあわせー! (37) それなりー (9) つぎにきたいするよ! (7) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/785.html
「ゆっくりくりくりクリトリス!!!!」 「うぎゃああああああああああああ!!」 紅魔湖から少し離れた森の中を駆け抜ける2つの影。 正確には走っている影は1つで、もうひとつはその影に抱き上げられていた。 しかも器用なことに影は抱き上げた相手の陰部を自分の口元に寄せて、舐めたくっている。 そう、この影の正体は変態お兄さん。装備は背負ったリュックのみで他は完全な全裸だ。 そして、もうひとつの影はゆっくりれみりゃだった。 何故森の中を走るのか? 理由は簡単。リビドーと風を一緒に感じたかったからだ。 何故ゆっくりに変態行為をするのか? 理由は単純。そこにゆっくりがいるからだ。 そんなわけで湖のほとりで見かけたはぐれゆっくりゃを抱きかかえて、変態お兄さんは今日も森をひた走る! 「レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ」 「やべでえええええ!!はなずんだどおおおおおお!!」 変態お兄さんの鍛え抜かれた舌技が容赦なくゆっくりゃの秘裂を責め立てる。 そのあまりの激しさにゆっくりゃのあそこはもうぐしょぐしょだ!主に唾液で。 「ううううう!やべるんだどおおおおお!!」 抗議の声を上げながらぺちぺちとお兄さんの頭を叩くゆっくりゃ。 しかし、お兄さんには何の効果もない。寧ろぺにぺにが元気になるくらいだ。 「ゆっくりゃ君!君のパウワーはこんなものかい!?」 変態お兄さんは威勢の良い声でゆっくりゃを挑発しながら、相変わらず抱き上げポーズのままぐるぐると回り始める。 勿論、パワフルな舌技による愛撫をやめる気配は微塵もない。 つまり、お兄さんは舐めながら喋りつつ回りながら疾走するという微妙な離れ業をやってのけているのだ。 「ううううううううう!ぎぼぢわるいどおおおおお!!」 「はっはっはっは!まだまだだぞ~♪」 延々と回され続けたゆっくりゃは気持ち悪さのせいか顔が真っ青。 が、お兄さんは自重しない。いや、むしろそこで付け上がるのがお兄さんと呼ばれる人々なのだ! 変態お兄さんは調子に乗って回転速度をどんどん上げていく。 「ぎぼぢわるいいいいいいいいいいいい!!やべげぼおおおおおおおおおおおお!!」 「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは・・・!」 更に速度の増した回転に我慢出来なくなったゆっくりゃは吐瀉物を撒き散らした。 しかし、お兄さんはまだ回り続ける。 「う・・・ううううううう!」 「はっはっはっは!ま~だまだ~!!」 勿論、舌のほうの動きも絶好調!今のところ回転の気持ち悪さが勝っていてゆっくりゃは気付いていないが、大分こなれてきている感じだ。 さっきまでは主に唾液で濡れていた場所がまた別のものによって湿り気を帯び始めている。 「さあ、ゆっくりゃ君!いいかげん白状する気になったかな?!」 「いや゛ああああああああああ!!でびりゃのおやぢぎはひみづなんだどおおおおおおおおおおおおお!!」 どうやら変態お兄さんはこのゆっくりゃの巣のありかを知りたいらしいが、ゆっくりゃがなかなか強情で思いようにいかないといったところか。 その返事を聞くや否や、お兄さんは舌と回転に加えて、左手中指による肛門攻めを開始した。 にちゃにちゃと中の具をかき回す音がゆっくりゃの腹越しに聞こえてくる。 「ほ~れ!!吐かないか!?儚いのか!?」 「うぎゃあああああああああああああああ!!」 肛門に指を突っ込まれた不快感から悲鳴を上げるゆっくりゃだが、そんなものは何の意味もない。 更に陰部を覆うように唇をくっつけたお兄さんは、全力で中身を吸い上げる。 「うばばばばばばばああああああああああ!!?」 すると、陰部近辺の具が口の中へと吸い込まれていき、腹部の空洞になった部分の空気も吸い上げられてべコンとへこむ。 「なあ、ゆっくりゃ君?お兄さんは君のおうちが見たいだけなんだよ。なあ、教えてくれよ?」 「ざぐやああああああああああ!だじゅげでえええええええ!!」 ついにいるはずもない従者に助けを求め始める。が、お兄さんは知っていた。 この言葉は事実上の敗北宣言なのだと。この状態で従者が来ないことを認識させ、更に軽く可愛がってあげればすぐに素直になる、と。 「咲夜さんはこないよ・・・」 そう呟くと、突き入れた指に思いっきり力を入れて、ゆっくりゃの肛門を引き裂いた。 「・・・なあ、ゆっくりゃ君。話す気になったかい?」 「うぎゃあああああああああああ!!いいまずううううう!!いいまずがらやべでえええええええええええ!!」 結局ゆっくりゃがこうむった被害は嘔吐、腹部に若干の陥没、肛門の断裂の3つだけ。 変態お兄さんとしては事が穏便に進んだことが非常に嬉しかった。 ゆっくりゃの案内に従って薄暗い森の中を進んでいくと、やけに元気のなさそうなゆっくりまりさの家族を見かけた。 その一家の家族構成は親のゆっくりまりさ1匹と、子どものゆっくりまりさ3匹。他の種はいないし、もう一方の親の姿も見当たらない。 おそらく、ゲスな同種にレイプされたか、或いはその逆か。もしかしたら止むに止まれぬ事情があるのかもしれない。 そんな妄想に基づいて勝手に同情した変態お兄さんはその一家に元気良く話しかけた。 「やあ、君たち!元気かな?」 「ゆ!?おにいさんだれ?ゆっくりできるひと?」 「僕は変態お兄さん!とってもゆっくり出来る人だよ!」 「それじゃ、ゆっくりしていってね!」 「ああ、ゆっくりしていくよ!ところで君たち、どうしてそんなに元気がなさそうなんだい?」 本題に入ると同時に怯えさせないようにお兄さんは自分の中で最高の笑顔を浮かべる。 そんな僕の質問に、子どもたちが酷く弱った声で答える。 「まりしゃたちね・・・おにゃかしゅいたの・・・」 「じゅっとおみじゅしかのんでないの・・・」 「おみじゅもちょっとちかのんでにゃいの・・・」 どうやら、この一家は飢えのせいで衰弱していたらしい。そのことを知ったお兄さんはこの一家の食べ物を分けてあげることにした。 「そうかそうか!それは大変だったね!でも大丈夫。お兄さんがこのゆっくりゃを食べさせてあげるよ!」 「うー!!れびりゃだべられだぐないいいいいいい!!」 お兄さんの急な提案にさっきまで大人しくしていたゆっくりゃがまた暴れ始めた。 が、そんなことは最初から想定していたお兄さんはすでにその両手両脚を紐で縛っている。 そのため暴れたところでゆっくりゃはろくに抵抗できない。 「「お、おかーしゃん、ゆっくりゃこわいよお・・・」」 「まりしゃたちたべりゃれちゃうよぉ・・・」 「だいじょうぶだよ。おかーさんがまもってあげる!」 とは言え、ゆっくりにとってはそれでも怖いのだろう。みんな一箇所に固まってガタガタと震えている。 暴れながらそんな様子の一家を見つけたゆっくりゃは急に上機嫌になって、「ぎゃおー!たべちゃうどー!」などと吠え始めた。 「はっはっは!君たち、怖がることはないよ。すごく安全に食べさせてあげるから!」 お兄さんはそう口にした直後におもむろに1匹の子まりさを掴むとゆっくりゃの裂けた肛門にねじ込んだ。 「ゆゆっ!!?」 「うぎゃ!!?」 「おにーさん、まりさのこどもになにするの!」 その常軌を逸した行動に困惑するゆっくりたち。しかし、お兄さんは一家やゆっくりゃに構うことなく、胎内にねじ込まれた子まりさに話しかける。 「どうだい?ゆっくりゃの中はあったかいだろ?」 「うん、ちょっとくしゃいけどあったかいし、おいちいよ!」 「そうだろ?ゆっくりゃは汚らしくて臭いけど、あったかくて美味しいだろ?」 「れびりゃはぐざぐないどおおおおおおお!!」 臭いといわれたことに抗議するゆっくりゃ。しかしその場にいる誰もがゆっくりゃのことなんて気にも留めない。 だから、まるでゆっくりゃなんていないかのように話を進んで行った。 「な、これならゆっくりできて安全だろ?」 「「ゆ!おにいしゃん、まりしゃも、まりしゃさも!」」 「おにいさん!このこたちもはやくいれてあげてね!」 「勿論そのつもりさ!」 そう言ったお兄さんは母まりさのお願い通りに残りの2匹肛門からねじ込む。 「うぎゃああああああああああああ!!いだいいいいいいいいいいいい!!」 その間も、ゆっくりゃは叫びっぱなしだったけれど、誰も気にしない。 それから、うっかり子どもが落ちないように適当な枝を突っ込んでは横向けにして肛門付近に引っ掛ける。 「ぎゃおおおおおおおおおおおお!!やべでえええええええ!やべでええええええええ、bwmんdkんcげdlんd。!!」 ついに正気を失い始めたゆっくりゃ悲鳴の後に訳の分からない音声を発し始める。 それでも、誰もゆっくりゃに気を遣おうなんてことは考えない。 「さて、最後は・・・」 最後に母まりさを入れようと思ったのだが、どう考えても母は大きすぎる。 しかし、母まりさもそのことに気付いていたらしく、何も言わずに首を振ると「そのゆっくりゃのうでをちょうだい」と言った。 お兄さんはまりさの言うとおりにゆっくりゃの右腕を千切って差し出した。 「うっめ、めっちゃうめぇ!」 その後、母まりさが美味しいゆっくりゃの右腕に夢中になっているのを邪魔しないように、3匹の子どもの分重さの増したゆっくりゃを抱えて、森の奥へと向かっていった。 「おじさん、まりさにもゆっくりゃのうでをよこすんだぜ!」 結論から言えば、このまりさはゲスまりさだろう。 一つ、他人への最初の呼称がおじさんである。 一つ、出会いがしらにモノを要求してくる。 一つ、自分が物を貰う立場の癖に「よこせ」と抜かしている。 一つ、語尾に「だぜ」を用いている。 これだけの条件を満たしているまりさは大体ゲスと考えて差し支えないだろう。 「まりさ君、きみはおなかがすいているのかい?」 「そうだぜ!だからゆっくりしないでまりさにたべものをよこすんだぜ!」 「断る」 そう言った変態お兄さんは首と股間にぶら下がったイチモツを横に振ると、さっさと森の奥へ進んでいく。 しかし、さっきのまりさはしつこく追いすがって来た。 「ごちゃごちゃいわずにまりさにたべものをよこすんだぜ!」 「・・・・・・君は自力で取れるだろう?」 「あたりまえだぜ!まりささまをなめるんじゃないぜ!」 「じゃ、要らないじゃないか?」 「それはそれ、これはこれだぜ!」 どうやらなかなかに年季の入ったゲスらしい。 「でも、俺には君に食べ物をやる理由がないんだよ」 「だったら、まりさのきょかなしにこのもりにはいったことをゆるしてやるぜ!」 「ほう?このもりにはいるのにはきみのきょかがいるのかい?」 「あたりまえだぜ!このもりもこのもりのものもぜんぶまりさのものなんだぜ!」 まりさはもここまで図々しいのは珍しいんじゃないかと思うようなことを口にするが、お兄さんは適当に聞き流す。 その時、不意にあることが気になったので尋ねてみた。 「君、家族は?」 「まりさはここうのおうじゃだぜ?そんなのいたらゆっくりできないぜ!」 「じゃあ、すっきりしたけいけんは?」 「はっはっは、そんなのかぞえきれないほどあるぜ!」 「じゃあ、さっき俺が食料をあげたまりさとは?」 「もちろん、すっきりさせてやったことがあるぜ!」 「こどもをうんだけいけんは?」 「そんなあぶなくてばかなことするわけないんだぜ!」 決して長くないやり取りだったが、変態お兄さんはこいつが相当のゲスであり、一切の同情も遠慮も必要ない相手だと確信し、お仕置きモードに移行した。 ずっと抱えていたゆっくりゃを地面に置き、ゲスまりさに手招きする。 「やっとまりさにたべものをみつぐきになったんだね、おじさん!」 自分は食べ物をもらえて当然と思っているまりさは一切警戒せずにゆっくりゃのほうに向かってくる。 一方のゆっくりゃは「たべられだぐないいいいいい!!」と叫びながら必死で逃げ回ろうとする。 が、先ほど放り込まれた子まりさたちが体内でゆっくりしているせいか酷く体が重い。その上、子どもたちが具に接触した拍子に激痛が走る。 「いだいいいいいいいいいい!!」 動こうとする度に、また何もしていなくても襲ってくる痛みのせいでゆっくりゃは見じろき一つできなかった。 「ゆっへっへ、まりさからにげられるとおもってるのかだぜ?」 と、まりさはゆっくりゃの眼前で余裕の笑みを浮かべる。ここまで上手くことが運ぶとは変態お兄さんも思わなかったが、これはこれで渡りに船。 そんなわけで隙だらけのまりさを上から押さえつけると、これまた痛みで隙だらけのゆっくりゃの顔に密着させ、激しく振動を与える。 確か体つきでもこの方法で妊娠できたはず。うろ覚えの記憶を手繰り寄せながらお兄さんはひたすら2匹に刺激を与え続ける。 「ゆっゆっゆっゆっゆ・・・!」 「う、うううううぅぅぅううう・・・!」 「はぁはぁ・・・ゆっくりゃ~、そのぶさいくなしもぶくれがおに、はぁ・・・まりさのぺにぺにをぶちこんであげるぜええ・・・!」 「ううう、いだいーーーー!!」 「はぁ・・・まだまりさはなにもしていないのに、ゆぅ・・・はぁ・・・いたいなんて、ゆぅ・・・とんだへんたいだぜぇ・・・!」 ただ振動を与えているだけなのに、顔いや体中から変な粘液をだらだらしたたらせながら勝手に昂って行く2匹。 もうそろそろ始めても大丈夫だろう、と判断したお兄さんは2匹を思いっきり密着させた。 「ゆぅ・・・!さすがゆっくりゃだぜ。ゆぅ・・・うんどうしんけいだけがとりえなだけあって・・・ゆぅ、ほかのやつらとは、まんまんのしまりが・・・はぁ、ちがうぜ・・・!」 研究者によると言葉責めのつもりらしい。卑猥な言葉で相手のみだらさを強調して堕落させているんだとか。 人間だったら殴られても文句の言えない台詞だと思うんだが、どうやらゆっくりの場合はこれで十分らしい。 「う゛!?う゛う゛う゛っ!?やべ、やべでええええええええええ!!?」 痛がりながらもその中に嬌声が混ざっている。どうやら体は素直だったらしい。 「んほおおおおおおおおお!すっきりーーーー!!」 「うぎゃあああああ!いっぢゃうううううう!!」 やがて絶頂に達した2匹は同時に奇声を上げると、互いに動きを止めてぜぇぜぇと呼吸を整える。 そして受けに回ったと思われるゆっくりゃを見てみると、頭には早速茎が生え始めていた。 「ゆう!なかなかのまんまんだったぜ!」 と、ニヒルな(と本人は思っているであろう)笑みを浮かべると、さっきまで交尾していた相手の腕に齧り付いた。 どうやら絶頂に達してなお当初の目的を忘れていなかったらしい。 「うぎゃああああああああああああ!!」 腕を食い千切られたゆっくりゃは絶叫を上げる。元々衰弱していた上に、さっきの交尾で体力を消耗してしまったため、抵抗する力が残っていないようだ。 しかし、まりさがゆっくりゃの腕に舌鼓を打とうとしたとき、またしてもお兄さんに頭をつかまれ、激しい振動を与えられる。 勿論、もう一方の腕ではゆっくりゃに対しても頭の茎が取れない程度に容赦なく振動を与えている。 「に、にどもするきはないん・・・ん、ゆっ・・・ゆぅ・・・」 「はっはっは!せっかくだからお兄さんも交えて3Pしようぜ!」 朗らかに微笑むお兄さんのブツはちょっとした鈍器の如く頑丈になり、ちょっと信じられないほどに怒張していた。 そうして、また2匹が昂ってきたところでさっきと同じように顔を密着させる。 すると、どんなに疲れていても、どんなに飽きていても体が勝手に動いてしまうのだ。嗚呼、悲しきは野生の本能。 「ゆぅ・・・!さすがゆっくりゃだぜ。ゆぅ・・・うんどうしんけいだけがとりえなだけあって・・・ゆぅ、ほかのやつらとは、まんまんのしまりが・・・はぁ、ちがうぜ・・・!」 さっきと全く同じ台詞しか口にしないあたりにボキャブラリーの貧困さが伺える。 が、今のお兄さんにとってはそんなことはどうでもよかった。 互いに快感を高め合う2匹を尻目に彼はゆっくりゃの体のほうのまんまんにはち切れんばかりに男根を深々とねじ込んだ。 「うぎゃああああああああああ!?」 まだ、叫び声を挙げる元気が残っているらしい。その事実にお兄さんはにっこり。 「それだけ元気があれば大丈夫だね!ほ~れ!ほれ!ほれ!」 ゆっくりゃの太ももをむんずと掴んだお兄さんは挿入したまま立ち上がると遠慮なく腰を振り始めた。 「ゆっゆっゆっゆっゆ・・・!」 一方のまりさも良い感じの楽しんでいるらしい。なかなかのハイペースで全身を震わせていた。 「うっ、ぎゃっ、xbんけsっでwんhつkんmc!?!?」 しかし、双方から激しく責められているゆっくりゃは訳の分からない音声を発しながらびくびくと痙攣している。 「・・・・・・!?こ、これは・・・」 しばらく、ゆっくりゃ相手にピストンしていたお兄さんは驚愕した。どうやらゆっくりゃの中の子まりさがぺにぺにを刺激しているらしい。 まむまむと子まりさのフェラが奏でる二重奏が否応なしにお兄さんに激しい快感を与える。 「くっ・・・はっ、ふおおおお・・・これは長く持ちそうにないな・・・」 見ると、まりさもそろそろ絶頂間直といった感じで、ゆっくりゃに関しては色んな意味でもう限界といった様子だった。 「これがスパートだ!!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!・・・」 「ゆっゆっゆっゆっゆっゆ・・・いぐうううううう・・・」 「ぎゃっ!・・・ぎゃ!いっぐううううううう!?」 最後の一発。お兄さんは全力でゆっくりゃに腰を打ちつける! 「ふぉおおおおおおおおおおお・・・・!!」 「んほおおおおおおおお!すっきりいいい!!」 「いぐううううううううううううううう!!」 そうして2匹と1人は同時に果てた。 その後、まりさはお兄さんの手によってゆっくりゃと更に8回も交尾する羽目になった。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・もうしばらくはすっきりしたくないぜ・・・」 合計10回もすっきりしたまりさは流石にぐったりしていて、もう一歩も動けないといった様子だった。 一方、元々疲弊していたゆっくりゃはもはや虫の息。しかし、頭に生えた10本の茎が容赦なくゆっくりゃから養分を奪う。 しかし、当初の目的はまりさにお仕置きをすること。今までの行為はあくまで下準備に過ぎないのだ。 全裸の変態お兄さんは背中のリュックから餡子の缶詰と小麦粉と水とナイフを取り出し、 まず、小麦粉を水で溶かして適当に皮を作る。それから皮の中に餡子を放り込んで、更にその中に手近な石ころを入れる。 その作業を繰り返して握りこぶし大の饅頭を5つほど作った。ただし、この饅頭は皮をしっかり閉じずに一箇所だけ餡この出し入れを出来る場所を残して。 それからぐったりしているまりさに近づくとナイフで後頭部の皮を引き裂く。 「ゆぎゃ!?おぢさん、いだいぜ!なにするんだぜ!」 当然抗議してくるが、そんなものは無視して同じように五箇所ほど皮を引き裂く。 それが済んだら今度はさっき用意しておいた饅頭の餡子の出し入れをするための場所と引き裂かれた後頭部を接着する。 勿論、5箇所とも何かの拍子に外れてしまわないように慎重にかつ丹念に。 「ゆ!?ゆぎいいいいいいいい・・・!!?」 やはり修復作業だろうとなんだろうと傷口に触れられれば痛いらしく、まりさは白目を剥いて泡を吹いている。 もっとも、下手に暴れられないのは好都合なのでさっさと作業を済ましてしまおう。 これで作業の第一段階は完成。後頭部に握りこぶし大のこぶのあるゆっくりまりさが完成した。 「ゆ・・・ぎぃ・・・ゆ!?おじさん、なんでまりさにいたいことするの!そんなおじさんはゆっくりしね!」 次の作業の準備をしているとまりさが目を覚まし、元気良く罵声を浴びせてくる。痛い目にあわされておいて恐怖心を覚えない辺りがいかにもゆっくりらしいといえる。 「なあ、腹が立つんならお兄さんをやっつけてごらん?」 「ゆ!ばかだね、おじさん!まりさにけんかをうるなんていのちしらずにもほどがあるんだぜ!」 そう言って、勢い良くお兄さんに飛び掛ろうとするまりさ。しかし、想像していたほど勢い良く飛びかかれなかったためにお兄さんまで届かず、その上何故か後頭部から落下してしまった。 「ゆぎゃああああああああああああ!!」 しかも、尋常じゃなく痛そうだ。もっとも、頭の中に石を埋め込まれているのだから当然だろう。予想だにしない激痛にのた打ち回っている。 「ゆ!?!ゆぎいいいいいいいいいいいい!!」 が、そののた打ち回りが災いした。自分ではまだその存在に気付いていないこぶ。しかし、その中身が餡子であった以上もう体の一部として癒着してしまっている。 その体の一部を知らず知らずのうちに地面に激突させてしまっていた。 お仕置きなのでしばらくそのまま放置してもかまわないのだが、今回の本当のお仕置きはこれから始まるのだからあまりのんびりもしていられない。 白目を剥いて転がっているまりさを押さえつけたお兄さんは、下手に動き回られないように、それでいて餡子がはみ出ることのないように脚部をナイフでめった刺しにする。 「ゆっ!ぎゃ!ぎぃ!ゆぐ!ゆぎぃ!ゆごっ!がっ!ゆっぐ!」 あまりの痛みに再び泡を吹き始めるが、執拗に刺され、その痛みが意識を無理やりこちらに引き止めるので気を失うことも出来ない。 その執拗な刺突が終わった頃にはまりさの顔は涙でぐしょぐしょに濡れてしまっていた。 これで暴れることは出来ないだろう。そう判断した俺は、今度は相変わらず虫の息のゆっくりゃを魔理差のそばまで引っ張ってきた。 そして、徐々に成長しつつある頭部の茎を折ってしまわないようにナイフで注意深く皮をえぐって引き抜く。 「う!?うぎゃ!?ぎゃ!?」 その痛みで一瞬朦朧としていた意識を取り戻すゆっくりゃだが、やはり再三にわたるお兄さんのお仕置きと交尾のダメージが相当大きかったらしく、殆ど抵抗する様子を見せない。 「よし、これでOK。移植するぞー!」 そういって気合を入れなおした変態お兄さんは、相変わらず泣きじゃくっているまりさの額よりやや上の部分にナイフを突き立てた。 「ゆっ!?ゆぎゃああああああああああ!!?」 案の定、痛みのせいで絶叫するがそんなものは無視してさっさとゆっくりゃから引っこ抜いた10本もの茎をそこにねじ込むと、小麦粉を練りこんで茎を固定した。 「よし、これで完了」 「ゆ!?なにごれえええええええええええ!!」 「ん?それは額の茎のことかい?それとも後頭部のこぶのことかい?」 「どっぢもだよおおおおおおおおおおお!!」 「はっはっは!そのこぶは子供をちゃんと産めばなくなるから安心すると良い!」 「いやだああああああああ!!ごどぼなんがいらないいいいいいいいい!!」 「でも、うかつに子どもを殺したりするとずっとそのこぶは取れないぞ!はっはっはっはっはっは!」 「ゆう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」 よし、お仕置き完了。そう呟いた変態お兄さんは相変わらずへばっているゆっくりゃを抱き上げると更に森の奥深くへと進んでいった。 (多分続く) ---あとがき--- 書き込めないのってストレスたまる。 そんなわけで、変態お兄さんを書いてみました。 ただ、ちょっぴり虐待要素が濃い気もしますが、そこはご愛嬌ということで。 byゆっくりボールマン 【作品一覧】 ゆっくりいじめ系322 ゆっくりボール 虐 道 無 阿求×ゆっくり系8 ゆっくりボール2 虐 道 ゆっくりいじめ系353 ゆっくりボール3 虐 環 無 ゆっくりいじめ系357 ゆっくりボール3-2 虐 環 捕 無 ゆっくりいじめ系365 ゆっくりボール3-3 虐 制 無 ゆっくりいじめ系375 ゆっくりボール4 虐 家 捕 無 ゆっくりれみりゃ系いじめ31 ぷっでぃ~ん天国 虐 捕 無 ゆっくりいじめ系401 びりゃーど 虐 家 道 無 その他 ゆっちぇす そ ゆっくりいじめ系412 必殺コンボ? 虐 ゆっくりれみりゃ系いじめ36 ゆっくりぼーる5 虐 家 道 ゆっくりいじめ系436 ゆっくりみだら1 そ 家 性 無 ゆっくりいじめ系438 ゆっくりみだら2 そ 家 性 無 ゆっくりいじめ系442 ゆっくりみだら3 そ 家 性 無 ゆっくりいじめ系448 ディスコミュニケーション そ 無 ゆっくりいじめ系458 ゆっくりみだら4 そ 家 性 無 ゆっくりいじめ系484 鬼意さんVSドス 1 虐 ゆっくりいじめ系485 鬼意さんVSドス 2 虐 性 ゆっくりいじめ系486 鬼意さんVSドス 3_1 制 ゆっくりいじめ系487 鬼意さんVSドス 3_2 虐 ゆっくりいじめ系500 ゆっくりみだら5 虐 無 ゆっくりいじめ系513 ゆさくや1 ゆっくりいじめ系525 ゆさくや2_1 ゆっくりいじめ系526 ゆさくや2_2 ゆっくりいじめ系529 ゆっくりみだら6 ゆっくりいじめ系559 ゆさくや3 虐 制 家 ゆっくりいじめ系573 ゆさくや3.5 虐 そ 無 ゆっくりいじめ系582 淡々とゆっくりを尾行してみた そ 家 環 無 ゆっくりいじめ系589 淡々とゆっくりを尾行してみた 2 虐 環 家 無 ゆっくりいじめ系597 虐待おばば 虐 無 ゆっくりいじめ系602 淡々とゆっくりを尾行してみた3 虐 環 家 捕 無 【不掲載分】 ゆっくりれみりゃ系いじめ33 妊娠ゆっくりゃいじめ 虐 無 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3133.html
注:いじめ成分が物凄く薄いです 注:ゆっくりが汚いです(うんうんやしーしー描写じゃ無く、精神的な物でも無く) 注:ゆっくりが現代の町で生きる物です 注:お兄さんは虐待鬼意山じゃないです 注:かといって愛で兄いさんでもないです 注:他の人のSSとネタが被ってる気がします 漫画喫茶から帰る途中、月を見ながら歩いている俺の耳に変な音が聞こえた なんだなんだ?と思って音の発信源に近づいてみる暇人な俺 その俺の目の前のゴミ捨て場に、ゆっくりれいむと、ゆっくりまりさが居た 中身が散乱したゴミ袋が周囲に散ばる中で何やらもぞもぞしている ゴミ漁りをしているのだろうか?町のゆっくりがするには珍しくも何とも無い行動ではある……のだが 「じゃまなごみさんはいらないよ!」 「そうだね!たべられないごみさんはゆっくりしないでどっかいってね!」 ………カラス以上にゴミを辺りにぶち撒けまくるなぁ しかも、事ある毎に大声で叫びやがる。今何時だと思ってやがるんだあいつら? 夜中の3時。草木も眠る丑三つ時である。寝てる人に迷惑をかけるな 昼にゴミ捨て場に来ると叩き出されるから、人が寝静まった夜に来る程度には知恵が回るみたいだが… 大声出しちゃ意味無いだろと。まあ、これも、町のゆっくりとしては珍しくもない行動ではある ……ゆっくりを対象とする条例を政府の人には作ってもらいたいものだ。ゆっくりに対してだけ非常に厳しい物を と、そんな事をつらつら考えながらゆっくりを離れた所から見ている俺 折角の連休を、こんな無駄な事に費やして良いのかしらん。家で寝てた方が有意義な気がする 「ゆゆっ!?あまあまさんがいっぱいはいってるよ!あかちゃんたちにももってこうね!」 「すごいねまりさ!おうちにかえってゆっくりたべようね!」 仲が良さそうだしあの二匹は夫婦かな?会話の内容から察するに子供も居るようだ ………うん?普通なら妻の方は巣で子供達の世話をしてるんじゃないのか? 巣を空にするとは子供達が危なくないか? と考えていると、疑問に対する答えが当の本人達から都合よく返ってきた 「ゆぅ……れいむ。おうちのあちびちゃんたちだいじょうぶかなぁ?」 「だいじょうぶだよまりさ!ねむってるかわいいおちびちゃんたちはあぶないめになんてあわないよ!」 …相変わらず謎思考全開だ まあ、ゆっくりの基本形の一つだから不思議ではな……ちょっと待てよ!? よく見るとあいつら……昼間にスーパーの前で物乞いして、バイトにぶん殴られたゆっくり達じゃないか! ゴミ漁りすると人間に殴られるから、昼の間は物乞いをする事にしたんだろうかな? しっかしそれにしても、バイトに箒で殴られて追い払われる時に子供も一緒に居たはずだけどなぁ それに、逃げる途中で子供が数匹車に潰されてたはずなのに……起きてる時は危ないけど寝てる時は平気って、どんな妄想力やねんと 一瞬ツッコミの声が出かけるとは…ゆっくりのボケは凄い物があるな 「そうだね!じゃあゆっくりかえろうねれいむ!」 「うん!わかったよまりさ!」 ん。どうやら巣に帰るらしい まりさの帽子の中にあまあまさん(千歩譲っても俺の目には食い物に見えん)を入れると跳ねて行く ぽいんぽいんと…本当に間が抜けた音を立ててるなぁ 生暖かい目で見ながら尾行しようとすると、唐突にゆっくり夫婦が止まった む?もしかして気付かれたか!?と一瞬体が硬くなった俺 だが、そんな事は無かった 「「ゆっくりかえったよ!!ゆっくりしないではやくゆっくりおきてね!」」 ゆっくり夫婦の一際大きい声。静寂な夜気を引き裂きまくりです 離れてる俺の耳もキーンと鳴るぐらい大きい……とても近所迷惑です 「ゆ……ゆゆ」 「ゆーっ…わかったよおかあさん!」 って!?何か出て来た!? 「ゆゆ…おかーしゃん、おかえりゅなさい…」 「おとうさんもおかえりなさい!」 目の前の自販機の裏から這い出てくる。なにかこぎたないの 昼間見た赤ゆっくりと子ゆっくりの生き残りだろうかね。しかしうすぎたない 赤ゆっくりが物凄く眠たそうにしてるのは、やはり赤ん坊だからか。それにしてもきたねーな つか、ゴミ捨て場からメッチャ近っ!ほんとうにきたないさすがきたない 「おかーしゃん…あまあまさんとってきてくれた?」 「かわいいおちびちゃんのためにとってきたよ!ゆっくりたべてね!」 「ゆー、まりさもゆっくりたべたいよ!」 「いっぱいあるからゆっくりたべてもだいじょうぶだよ!」 「ゆ!?それほんとう!?へぶんじょうたい!」 「「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!!」」」」 …………もしかして、ここが巣なのか? 自販機の裏だから冬になっても安心快適!なのは分かるし ゴミ捨て場が近くにあるから、餌の心配もしないで良いのは分かるけど…… 「朝になったら保健所に連絡しよう……」 そう心の中で固く誓いながら家に帰る俺であった。あー嫌なもん見ちまった <おわり>
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4787.html
初投稿です 俺設定結構あります ネタかぶったらゴメンとしか言いようがない。 設定は幻想郷です。だから明かりはろうそくry 拙い文章です。それでも構わない人はお目汚しをお願いします。 今日はゆっくりに用があってこんな森の中に来ている。 ボソッ 「ゆっくりなら気づいていると思うんだ」 これはこの男の口癖である。 今の季節は夏である。蝉しぐれの中をひたすら進み、目的物を探す。 しばらく歩いていると先のほうに何かが動いているのを視認できた。 多分だが、今回の目的物だろう。 足音を殺してそれに近づいていく。 その場所から人間の足で10分ほど歩いたあたりの距離にゆっくりまりさがいた。 まりさはきのこや山菜や虫をひたすら集めては、帽子に入れていた。 このまりさは子持ちのまりさで家族のためにごはんを集めに来ていた。 育ち盛りの子がたくさんいるので、ごはんもたくさん集めないといけない。 しかしその顔は大変そうながらも幸せそうであった。 やはりゆっくりだ。ようやく見つけた。 バスケットボールサイズの黒い帽子が特徴なまりさ種である。 「おい、饅頭」 まりさは後ろからいきなり声がしたので驚いた。 「ゆゆ!?」 親まりさは振り向くと、そこには細身で長身の「人間のお兄さん」がいた。 「まんじゅう?どこどこ?どこにあるの?まりさまんじゅうさん食べたいよ」 「饅頭はお前の事だよ。」 その男はやれやれといった感じでゆっくりに対して言った。 (ゆっくりのことを饅頭呼ばわりするなんてなんてゆっくり出来ない奴。) 「ゆっゆっ!まりさはゆっくりだよ!まんじゅうなんかと一緒にしないでね。あれは食べ物だよ!ゆっくりじゃないよ! それと、まりさは狩りで忙しいんだよ!人間さんは狩りの邪魔しないでどっかいってね!」 「だまれ饅頭」 「ゆゆっ!」 (一度ならず二度も饅頭呼ばわりしたよこの人間さん!もう許せないよ・・) 「まんじゅうなんて呼ばないでね!それはとってもゆっくり出来ない言い方だよ! そそそ・・それ以上言うとお兄さんをゆっくり出来なくさせるよ!」 男はにやりとしながら 「饅頭であるまりさを饅頭といって何が悪い?ん?糞饅頭?」 今のゆっくりは昔と違って大分変ったようだ。 昔は人間を見ても怖がったり警戒したりしなかったのだが今のゆっくりは人間を見ると、とても警戒する。 近づいた途端すぐ逃げるし、甘い言葉でどんなに巣の場所を聞いても頑なに教えないのである。 「人間さんは絶対に信用できない」と餡子の記憶に受け継がれたのだろう。 しかし、ほかにも変わった点がある。それは饅頭の意味を知ったことである。 人間の食べ物である饅頭とゆっくりはほぼ同じであるが、ゆっくりは饅頭の意味を知ってからそう呼ばれるのを 嫌うようになった。最近のゆっくりはゆん生の中でもっとも言われたくない言葉であり、最大の侮辱が「饅頭」であるそうだ。 「ゆっくりしねえええええ!」 まりさは男に向かって噛みつき攻撃を仕掛けた。飴で出来た歯とはいえ、普段それなりに固いものを 租借しているそのアゴで噛みつかれれば、それなりに痛い。 ガシッ! まりさは人間に頭を挟み込むようにつかまってしまった。 「ゆっくりしね!ゆっくりしねえ!!」 まりさは掴まれながら必死に人間に噛みつこうと口を動かす。 人間はまりさを持ち上げ、そして上に掲げるような構えを取り 「だまれ饅頭」 ブンッ! グシャァ!! 「ゆ゛びゅ!」 まりさを地面に力強く打ちつけた。一度バウンドしたまりさはそのまま動かなくなった。 死んではいない、気絶させたのだ。人間はまりさを麻袋に入れてそのまま自宅へ持ち帰った。 男は手慣れていた。人間を見て逃げるゆっくりを追いかけるよりも、 挑発して自分から向かってこさせたほうが、手っ取り早いと考えたのだ。 その日の夜にまりさは目覚めた (ゆ・・ゆぅ・・身体が・・いたいよ・・・) まりさは暗闇の中で目が覚めた。そこは暗いが完全な暗闇ではなかった。 まりさの一メートル前には火のついたろうそくが一本だけ立っていた。 「気がついたか饅頭。」 「ゆ!!あのときの人間さん!」 うす暗いが、声でわかった。ゆっくりは耳がいい。 低い慎重による、視界が低さを聴力で補っているのだろう。 だが、狩りに夢中になりすぎて人間の足音に気がつかないとは愚かの極みだ。 まりさは気絶するまでの事をどうやら覚えていたようだ。 「まりさは狩りの途中だったんだよ!早く家に帰してね!」 「わかったよ饅頭。君を家に帰してあげる。でも、それは話が終わってからだよ」 「ゆゆ?おはなし?」 「そうだよ饅頭。ほんとうは君たちゆっくりは気づいているんだろう? ゆっくりはこの世界には必要とされていないという事を、存在が無駄だということを! だからゆっくり数を減らして、こんな山奥でひっそりと数を減らして絶滅するのを待っているのだろう? 僕が君たちが絶滅するのを手伝ってあげるよ!」 「ゆゆゆ??」 ゆっくりたちは人間のゆっくりへの乱獲や虐待、そして畑などを荒らすことによる制裁としての駆除を 理由に人間から離れて森の奥までやってきたにすぎない。 そして数が減っているのは狩り場にゆっくりの天敵がたくさんいるからだ。 いのししやねずみ、犬や鳥などの獣は最初はゆっくりが食べられるものという認識は持っていなかったが、 次第にゆっくりは食べる事が出来る。弱い。狩りやすい。そしてゆっくりは甘くて美味しい。 それらの動物の認識の変化によってゆっくりは狩られる側となり、徐々に個体数を減らしていった。 このまりさは、その時生き延びたゆっくりの末裔にあたる。 まりさにはこの人間が何を言っているのかわからなかった。 まりさたちは自ら望んでこんな森の奥地で暮らしたり、数を減らしたりしているわけではなかったからだ。 人間は笑みを浮かべながら言った。 「君たちの考えはわかっているんだ。隠さなくていいんだ。 僕も力を貸してあげるよ!はやく絶滅しようねっ!」 「ゆっ!おにいさんが何を言っているのかぜんぜんわからないよ!まりさはおなかが減っているんだよ! さっさとあまあまもってきてね!それとまりさを森へ返してね!人間さんはそのあとゆっくり死んでね!」 この言葉はゆっくりが警戒している証でもある。 強気を示すことによって争わずに相手を引かせるのが目的であるのだが それが通じる人間は極まれだ。というかいるのだろうか。そんな人間がいたらお目にかかってみたいものだ。 「饅頭。君は何を言っているんだい?君には無駄な存在であるゆっくりとしての自覚がないね。 自覚をしてもらうために、僕が教えさとしてあげよう。」 人間はさっきまで浮かべていたうすら笑いが消えていた。 この人間は実は頭が弱い。決して頭が悪いわけではないのだが、かなり思い込みが強く、重度の妄想癖がある。 そしてこの人間はゆっくりは存在自体が無駄であると、絶滅するべきであると信じ込んでいた。 まりさは困惑していた。人間さんは今まで遠くから見たことはあったが、受け継がれた餡子の記憶から 人間さんはゆっくりできないものだという認識をもっており、近づくことはなかった。 しかし、人間に捕まって帰ってきたゆっくりはほぼ皆無なため、このまりさのように人間に捕まった場合、 どのように対応していいのか、まりさには全くわからなかった。 実はこのまりさ、ゆっくりにしては頭がよかった。頭の悪いゆっくりは自然淘汰し、 頭の比較的よい種だけが生き残った。まりさは多少使える頭で冷静に考えていた。 (人間さんってこんなにもゆっくりできないものだったなんて知らなかったよ!。危険だよ・・ それよりも育ち盛りのおちびちゃんたちやこれから生まれるあかちゃんが心配だよ。みんなきっとお腹すかせているよ。 はやくおうちにかえらないと・・・みんなが心配だよっ! でも・・この人間さんを怒らしたらとてもゆっくりできない気がするよ・・・) 意を決したようにまりさは言った。 「まりさがお兄さんに何か悪いことしたのならゆっくり謝るよ。だからこの暗いところからだしてまりさを森に帰してね。」 まりさなりに考えてだした精一杯の答えであった。人間はそれを聞いて顔をしかめ、しばらく黙っていた。 そして一転、とても満足そうな顔をして 「悪いことをした自覚はあるみたいだね!それなら話が早い。君の家族と仲間たちのところへ案内してね!」 「ゆゆ!!?それは出来ないよ!それはゆっくりできないことだよ!」 こんな危険な人間さんを家族に会わせるわけにはいかない・・大切なおちびちゃんが・・れいむが・・・大変なことになってしまう。 「僕はゆっくりできるよ。それにね・・悪いことをした自覚があるなら大人しく居場所に案内するんだ。罪には罰だろ?」 「それでも案内はできないよ!ゆっくり理解してね!諦めてね!」 バシィイン!! まりさは暗い部屋を転がり、暗さで見えない壁に激突した。 「ゆ・・ゆ・・・・ゆ・・」 何が起こったのか分からない。じわじわと右の頬が痛くなってくる。 まりさは人間に強めに平手打ちされ、吹っ飛ばされたのだった。 「いじゃいいいいいいいいい!!どぼじでごんな゙ごど「バシィィン!!」ゆびゅ!!」 また平手打ちをされた。それは野生で生きてきたまりさには未体験の痛みであった。殴るではなく平手で叩く、実はゆっくりには効率的な虐待方法であった。 まずいくら叩いても出餡多量にでもならない限りゆっくりは死なない。殴ると中枢餡を破損してしまうことがあるため、虐待や尋問には向かないのである。 ゆっくりの皮膚はとても振動に敏感で、音もその皮膚で聞き分ける。匂いも皮膚で嗅ぐことができる。 それだけ神経の集中した皮膚に平手打ちをしたらどうなるか・・寒気が走るような強い痛みに襲われることだろう。 男はなんどもまりさを平手で叩いた。 「ゆびゃ!!ゆぶ!!もうやめて!!!ゆぎゃ!!!ゆっぐりできな゙い!!」 男は平手で叩くのをやめ、居場所を言えば痛いことをしないと言った。まりさの顔は暗くてはっきり見えないが、涙にぬれて腫れあがっていた。 「ゆ・・ぎ・・ぎ・・だめ・・だよ・・それだけはできないよ・・ゆっくり・・理解してね・・・」 「言わないと・・饅頭・・お前死ぬぞ?」 居場所を言ってもこの男にはまりさを生かすつもりはまったくない。 「ゆぎ・・・ゆっくり・・したかったよ・・まりさを殺してよ・・・巣は教えない・・よ・・・」 「自分の意思で素直に言えば・・家族とその仲間たちは比較的楽に殺してやる。だが言わないのなら・・・・・・・ お前の家族は徹底的にいたぶり尽くした後、生きてきたことを後悔するほど嬲り、死ぬよりつらい目に遭ってもらう」 まりさには男の言っていることがよくわからなかった。自分が家族を位置を教えなければ自分の家族は人間にひどい目に遭うことがないと思っているからだ。 「ゆ・・・教えないよ・・・ゆっくり理解してね・・」 それでもまりさは教えないという意思だけははっきりと示した。 「まりさ・・お前の巣の位置なんて調べればすぐわかるんだぞ・・・ああ!そうかそうか」 男は急にニヤリと笑い上機嫌になった。 「お前は家族に痛い目に遭わせてほしいんだね。自分だけこんな目に遭っているのに家族がひどい目に遭わないなんて割に合わないもんな!! ゆっくり・・・理解したぜ!!」 「ゆゆ!!?」 冗談抜きでこの男はそう思っていた。 「やっぱりゆっくりみたいな存在が無駄な生物は存在するだけで罪だよな。俺はそれを処分する人間。なんて善行を積む俺! こんなに良い事してるんだからそのうち町の人達に表彰されるかもな。ふふふ・・明日のために寝るか。」 男はそういうとまりさを掴み透明なケースに詰めて、蓋をし、部屋の明かりを消した。 それからすぐにイビキと思しき音が聞こえた。 まりさは家族を想った。とってもゆっくりできなかった。 こんな気分のときは妻であるれいむとすりすりしたい。そうすればゆっくりできる。 (ゆぅ・・・れいむ・・おちびちゃん・これから生まれるあかちゃん・・・無事かな・・心配だよ・・) 家族を想うまりさだったが、まりさもこの日の心労と身体の疲労により、まもなく意識が無くなった。 次の日の朝方 ウォン!! と何処からか音がした。まりさはその音で目が覚めた。 その音はとてもゆっくりできない・・まるで犬のような・・まりさは餡子が冷える思いがした。 まりさのいる部屋は薄暗いが昨夜よりはずっと明るかった。 男が部屋に入ってきた。期待通り・・大き目な「犬」を連れて その犬は今までのまりさのゆん生では見たこともないサイズの犬であった。 まりさは走馬灯のように昔のことを思い出した。 まりさはかつて子供のころ「おさんぽ」で親に連れられて草原まで行ったことがあったのだが、その時野犬に遭遇した。 泣いて動けなくなった子ゆっくりたちは次々と犬に食われていった。まりさは泣きながら親と一緒に逃げた。 その日は自分以外のすべての姉妹がいなくなってしまい、ショックで泣きやむことができず、眠れなかった。 その日の夜、藁のベットの上でまりさの母親であるれいむにずっと顔をうずめて泣いていた。 犬はとってもとってもとってもゆっくりできないモノ。 まりさは餡子の奥の記憶餡にそう刻みつけている。 「おいカツオ!」 ウォン!とカツオと呼ばれた犬が吠えると、犬はその日以来トラウマとなっているまりさの前までやってきて、クンクン、と匂いを嗅いだ。 まりさは恐怖のあまり声すら上げられなかった。ただプルプルと震え涙と小便を垂れ流していた。 「カツオはな・・鼻がいいんだよ。お前ら昨日お前を捕まえた場所までいけば、お前の家族なんて簡単に見つけられる・・ぜ?・・ん?」 まりさは気絶していた。犬への恐怖のあまりに。 「饅頭が・・人の話くらい聞けよな・・」 男は気を失っているまりさを抱えて出発した。 ゆっくりいじめ系2924 ゆっくりしないでね! 2 につづく